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糖尿病でもおやつが食べたい!管理栄養士推奨のおやつとレシピを紹介

糖尿病と診断された方は、血糖コントロールのために食事療法が必要です。食事療法と聞くと、さまざまな食べ物を制限するイメージがありますが、糖尿病は栄養バランスが整っていれば特に制限する食べ物はありません。では、おやつも制限されないのでしょうか。今回は糖尿病でもおやつが食べられるかどうか解説し、おすすめのおやつや、手作りレシピを紹介します。

目次

糖尿病でもおやつは食べられる


糖尿病は食事療法が必要ですが、バランスの取れた食事をすれば、食べてはいけないものはありません。つまり、おやつも食べてよいのです。ただし、おやつは1日の目安量が決まっており、食べ過ぎると糖質や脂質が多くなりすぎるため、食事療法の効果が薄れてしまいます。

おやつの量は20単位の場合2単位を目安に

食品交換表では、20単位(1600kcal)の場合、おやつは2単位(160kcal)となっています。(※1)2単位以内であれば、基本的にどんなおやつを食べても構いません。


ただし、2単位はあくまでも20単位を指示されている人の場合です。人それぞれ指示単位が異なるため、必ずかかりつけ医や管理栄養士に相談し、おやつの量を決めましょう。

糖尿病の方におすすめの市販のおやつ


食事指導では果物や乳製品を中心に、体にいいものをおやつとして食べることを勧められます。しかし、毎日ストイックに体にいいものだけを食べ続けるのも難しいでしょう。たまには市販のおやつも取り入れて、気分をリフレッシュすることも大切です。


ここでは、2単位分(160kcal)のおやつを食べられると仮定して、おすすめの市販のおやつを紹介します。実際に購入する際はパッケージの成分表示を確認し、2単位におさまるかどうかチェックしてくださ

おすすめの甘いおやつ

おすすめの甘い市販のおやつは以下の通りです。


・ヨーグルト
・寒天ゼリー
・プリン
・低糖質スイーツ(ロカボマークがあるもの)
・プロテインバー
・カットフルーツ など


ヨーグルトを食べるのであれば、たんぱく質も取れるギリシャヨーグルトタイプもおすすめです。寒天ゼリーは0kcalのものも販売されており、罪悪感なくおやつを食べたいときにぴったり。


プリンは大きいものだと2単位を超えやすいので、小さめのものか低糖質タイプがよいでしょう。プリン以外にも低糖質スイーツが販売されていますので、本格的な甘いおやつが食べたくなったときは、ロカボマークのある商品を手に取ってみてください。


プロテインバーもたんぱく質を取りつつ、おやつとして楽しめます。商品によってカロリーが異なるため、必ずパッケージの成分表示をチェックしましょう。


カットフルーツも手軽に食べられる健康的なおやつです。スーパーだけでなくコンビニでも取り扱いがあります。


果物の食べ過ぎには要注意!

果物はビタミンや食物繊維など、体にいい栄養素を含む健康的なおやつです。しかし、果物は糖質(フルクトース)が多いため、体にいいからといって食べ過ぎると血糖値上昇の原因となります。ドライフルーツも同様に糖質が多いため、食べ過ぎは禁物です。

おすすめのしょっぱいおやつ

甘いおやつだけでなく、しょっぱいおやつも食べたくなるはずです。ここでは健康的なしょっぱいおやつを紹介します。


・チーズ
・ナッツ
・酢昆布や茎わかめ
・ゆで卵 など


チーズはカルシウムが補給できる、イチオシのおやつです。ベビーチーズだけでなく、割けるタイプのモッツァレラチーズもおやつにおすすめ。


ナッツはミネラル補給にぴったりなおやつです。できれば無塩タイプを選びましょう。酢昆布や茎わかめなど、海藻系のおやつも手軽かつ健康的なので、ぜひ取り入れてみてください。たんぱく質を補給し、小腹を満たすなら、ゆで卵という選択肢もあります。


塩分の摂りすぎに注意!

糖尿病は塩分制限を伴うことも多く、しょっぱい系のおやつを食べ過ぎると塩分過多になる可能性があります。スナック菓子やせんべい、珍味系は特に塩分が多いため、なるべく控えましょう。

おやつを手作りする際の注意点とおすすめレシピ


手作りおやつは余計な添加物を避けたり、甘味料を調整できたりとさまざまなメリットがあります。しかし、メニューによってはバターや砂糖、生クリームをたっぷり使うものもあるため、レシピをよく確認しましょう。


できれば、乳製品や果物を利用したヘルシーな手作りおやつがおすすめです。豆腐や豆乳、おからなど低カロリーの材料を使うと、食べごたえはありつつ、ヘルシーなおやつが作れます。また、砂糖を使用せず低糖質甘味料を利用すると、作れるおやつの幅が広がります。


ここからは2単位以内のヘルシーな手作りおやつのレシピを2つ紹介します。

水切りヨーグルトでヘルシーティラミス

ティラミスはマスカルポーネチーズや生クリームを使用しますが、カロリーが高くなるので、水切りヨーグルトで代用しましょう。その際に出た水分(ホエー)は捨てずに、味噌汁やドリンクに使ってくださいね。


材料(2人分)
プレーンヨーグルト:250g
低糖質甘味料(ここではラカントS):大さじ2
インスタントコーヒー:小さじ1
お湯:50ml
ビスケット:6枚
ココア:適量


作り方
-下準備-
・キッチンペーパーやふきんを敷いたザルの上に、プレーンヨーグルトを乗せてラップをかけ、冷蔵庫で一晩待つ。時間がないときはヨーグルトの上にキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトの倍程度の重りを乗せ、冷蔵庫で20~30分置く。(重りはキッチン用ポリ袋に入れた水でもOK)
1.水切りヨーグルトに低糖質甘味料を加え、泡立て器でしっかり混ぜる。
2.ビスケットを軽く砕き、お湯で溶いたインスタントコーヒーをかける。
3.グラスにビスケット、水切りヨーグルトの順に交互に入れる。(2回くらい)
4.仕上げにココアを茶こしでふりかける。


栄養価(1人分)
エネルギー:140kcal
たんぱく質:6.0g
脂質:5.5g
糖質:31.2g
食物繊維:0.6g
塩分相当量:0.2g


豆乳黒ごまプリン

プリンは牛乳や生クリームを使うことも多いのですが、今回はよりヘルシーに作れるよう、豆乳を使用します。豆乳は砂糖が入っていない無調整豆乳を使用しましょう。豆乳を沸騰させると分離し、ゼラチンも固まらなくなるので、必ず沸騰させないよう注意してください。


材料(2人分)
無調整豆乳:300ml
黒ごま(すりごま):大さじ2
低糖質甘味料(ラカントS):大さじ1.5
ゼラチン:2.5g


作り方
1.鍋に豆乳を入れて弱火にかけ、ふつふつとしてきたら火を止める。
2.黒ごま、甘味料、ゼラチンを加え、溶け残りがないようよく混ぜる。
3.粗熱が取れたらグラスに入れ、ラップをかけて冷蔵庫で冷やし固める。


栄養価(1人分)
エネルギー:109kcal
たんぱく質:6.7g
脂質:7.4g
糖質:13.3g
食物繊維:1.5g
塩分相当量:0.0g

まとめ

糖尿病の方もおやつを我慢する必要はありませんが、食べる量には注意が必要です。人によって指示されている食事の単位が異なりますので、必ずかかりつけ医や管理栄養士とご相談ください。


おやつは人の心をリラックスさせる、大切なものです。上手におやつを選んで、糖尿病とゆるやかに付き合っていきましょう。

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参考文献

※1.糖尿病食事療法のための食品交換表第7版|日本糖尿病学会 編・著

この記事を書いた人

端場愛
管理栄養士
学生寮や老人保健施設で実務経験を積んだのち、フリーランスの管理栄養士に。食べ物と体の関係を分かりやすく伝え、少しでも多くの人に健康になってもらうことを目標に、ライターとして活動中。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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    そもそもチョコレートって、どんな食品? チョコレートは、カカオ豆を固形化した食品です。発酵・乾燥させたカカオ豆を砕いて皮を取り除き、炒ってペースト状にしたものに、ココアバターやミルク、砂糖を加えて作ります。50g(1枚)の板チョコには、約30粒のカカオ豆が使用されていると言われています。 高カカオチョコレートって? 高カカオチョコレートの明確な定義はありませんが、通常はカカオ含有率が60%から70%以上のものを指します。一般的に、カカオ含有率が高いほど砂糖や乳製品の割合が少なくなり、苦味が強くなる傾向があります。一方で、近年の技術進歩により、苦味が少ない高カカオチョコレートも増えています。 <チョコレートの種類> カカオの含有率 ミルクチョコ20~40%程度 ビターやブラックチョコ40~60%程度 高カカオ(ハイカカオ)チョコ60~70%以上 カカオポリフェノールについて 高カカオチョコレートで注目される成分は、「カカオポリフェノール」です。ポリフェノールは多くの植物に含まれる苦味や色素成分で、強い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きがあります。特にチョコレートの原料であるカカオ豆には、豊富に含まれており、その量は植物性食品の中でもトップクラスです。高カカオチョコレートには100g中に840mg含まれています(注1,2)。 <ポリフェノール量:100gあたり> ・ダークチョコレート:840mg ・りんご:220mg ・赤ワイン:180mg ・コーヒー:89.5mg 【引用】Scalbert A and Williamson G. J Nutr 130:20735-85S,2000.より抜粋 ポリフェノールの期待できる効果 多くの研究が示すところによれば、カカオポリフェノールにはヒトの健康に良い影響を与える可能性があります。これまでの研究から、カカオポリフェノールが強い抗酸化作用を持ち、血管機能やアレルギー、ストレスなどに関連するさまざまなプラスの効果をもたらす可能性が示唆されています。 高カカオチョコレートに記載されている低GI値って? GIとは食後の血糖値の上昇速度を示す指標で、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略です。食べ物を摂取すると、糖分が血液に取り込まれ、血糖値が上がりますが、その上がり方は食品によって異なります。GI値が低い食品ほど血糖値の上昇は緩やかで、逆にGI値が高い食品ほど上昇が急になります。血糖値の急激な上昇は、血管を傷つけ、動脈硬化を自覚症状のないまま進行させることがあります。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクにつながる可能性があり、注意が必要です。高GI食品の摂り過ぎを避け、日ごろから低GI食品を選ぶことが大切です(注3)。 一般的な食品のGI値の比較によると、高カカオチョコレートは比較的低い仲間に分類されています。実際、最近の高カカオチョコレートの中には、研究データに基づいて商品パッケージに「低GI値」と記載されているものもあるため、選ぶ際の参考にするのも良いでしょう。 <主な食品のGI値> 低GI値高GI値 穀類押し麦、スパゲティなど精白米、食パンなど 野菜葉物野菜、ブロッコリーなどじゃがいも、かぼちゃなど 果物りんご、いちごなどパイナップルなど 菓子等高カカオチョコレートなどおせんべい、ポテトチップスなど ※GI値は、文献によって異なる場合があります。 高カカオチョコレートのデメリット 高カカオチョコレートは、一般的なチョコレートよりもカロリーや脂質が高いとされています。健康に良いからといって大量に食べることは、おすすめできません。 厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」では、「菓子や嗜好食品は1日に200kcalを目安とする」としています。例えば、一般的な板チョコレート約36gは200 kcalに相当しますが、その日の食事内容や個人の体格、年齢によっても適量は異なるため、あくまでも目安として考えることが大切です(注4,5)。 糖尿病と高カカオチョコレート摂取の影響と注意点 糖尿病は、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度が高い「高血糖」の状態が続く病気です。通常、食事前の血糖値は約70~100㎎/dlで、これは膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンが血糖を調節します。 しかし、糖尿病ではインスリンの不足やその作用の低下が原因で、血糖値の上昇を抑える機能(耐糖能)が低下し、高血糖が慢性的に続いてしまいます。特に甘いものは血糖値を急激に上昇させるため、注意が必要です。 高カカオチョコレートは、比較的糖質が控えめなうえ、低GI食品とされていますが、カロリーや脂質が高い傾向があります。少量を楽しむ場合でも、主治医や管理栄養士と相談しながら摂り入れることが推奨されます(注6,7)。 高カカオチョコレートを食べるときのおすすめのタイミングと食べ方 特に糖尿病の方は、高カカオチョコレートを含むおやつを食べる際には、次のポイントにも気をつけましょう(注8,9)。 ・午前中に食べる 朝から昼頃までは、心身が活性化してエネルギー消費が高まります。一方で、夜遅くに摂ると、そのエネルギーが脂肪として蓄積されやすく、太りやすくなります。 ・出かける前に食べる 食後、身体を動かすことで血液中のブドウ糖を筋肉で消費し、血糖値を下げる効果があります。食後1〜2時間以内に出かけるのが理想的です。 ・毎日食べない 毎日食べるのは避け、食べる場合でも空腹時には量が多くなりがちなので控えましょう。 ・他の人と一緒に食べる チョコレートを1人で食べるとついつい食べ過ぎてしまうことがあります。誰かと一緒に食べることで、コミュニケーションの場となり、食べ過ぎを防ぐことができます。 まとめ 高カカオチョコレートは、さまざまな健康効果が期待できますが、カロリーや脂質が高いため、食べ過ぎには注意が必要です。特に糖尿病の方は、主治医と相談しながら摂取することが大切です。また、カカオの割合によって味が異なるため、自分の好みに合ったものを見つけて楽しんでください。

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