高カカオチョコレートの健康効果って?糖尿病の人が食べるときに気を付けたいポイントもご紹介
そもそもチョコレートって、どんな食品?
チョコレートは、カカオ豆を固形化した食品です。発酵・乾燥させたカカオ豆を砕いて皮を取り除き、炒ってペースト状にしたものに、ココアバターやミルク、砂糖を加えて作ります。50g(1枚)の板チョコには、約30粒のカカオ豆が使用されていると言われています。
高カカオチョコレートって?
高カカオチョコレートの明確な定義はありませんが、通常はカカオ含有率が60%から70%以上のものを指します。一般的に、カカオ含有率が高いほど砂糖や乳製品の割合が少なくなり、苦味が強くなる傾向があります。一方で、近年の技術進歩により、苦味が少ない高カカオチョコレートも増えています。
<チョコレートの種類>
カカオの含有率 | |
ミルクチョコ | 20~40%程度 |
ビターやブラックチョコ | 40~60%程度 |
高カカオ(ハイカカオ)チョコ | 60~70%以上 |
カカオポリフェノールについて
高カカオチョコレートで注目される成分は、「カカオポリフェノール」です。ポリフェノールは多くの植物に含まれる苦味や色素成分で、強い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きがあります。特にチョコレートの原料であるカカオ豆には、豊富に含まれており、その量は植物性食品の中でもトップクラスです。高カカオチョコレートには100g中に840mg含まれています(注1,2)。
<ポリフェノール量:100gあたり>
・ダークチョコレート:840mg
・りんご:220mg
・赤ワイン:180mg
・コーヒー:89.5mg
【引用】Scalbert A and Williamson G. J Nutr 130:20735-85S,2000.より抜粋
ポリフェノールの期待できる効果
多くの研究が示すところによれば、カカオポリフェノールにはヒトの健康に良い影響を与える可能性があります。これまでの研究から、カカオポリフェノールが強い抗酸化作用を持ち、血管機能やアレルギー、ストレスなどに関連するさまざまなプラスの効果をもたらす可能性が示唆されています。
高カカオチョコレートに記載されている低GI値って?
GIとは食後の血糖値の上昇速度を示す指標で、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略です。食べ物を摂取すると、糖分が血液に取り込まれ、血糖値が上がりますが、その上がり方は食品によって異なります。GI値が低い食品ほど血糖値の上昇は緩やかで、逆にGI値が高い食品ほど上昇が急になります。血糖値の急激な上昇は、血管を傷つけ、動脈硬化を自覚症状のないまま進行させることがあります。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクにつながる可能性があり、注意が必要です。高GI食品の摂り過ぎを避け、日ごろから低GI食品を選ぶことが大切です(注3)。
一般的な食品のGI値の比較によると、高カカオチョコレートは比較的低い仲間に分類されています。実際、最近の高カカオチョコレートの中には、研究データに基づいて商品パッケージに「低GI値」と記載されているものもあるため、選ぶ際の参考にするのも良いでしょう。
<主な食品のGI値>
低GI値 | 高GI値 | |
穀類 | 押し麦、スパゲティなど | 精白米、食パンなど |
野菜 | 葉物野菜、ブロッコリーなど | じゃがいも、かぼちゃなど |
果物 | りんご、いちごなど | パイナップルなど |
菓子等 | 高カカオチョコレートなど | おせんべい、ポテトチップスなど |
※GI値は、文献によって異なる場合があります。
高カカオチョコレートのデメリット
高カカオチョコレートは、一般的なチョコレートよりもカロリーや脂質が高いとされています。健康に良いからといって大量に食べることは、おすすめできません。
厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」では、「菓子や嗜好食品は1日に200kcalを目安とする」としています。例えば、一般的な板チョコレート約36gは200 kcalに相当しますが、その日の食事内容や個人の体格、年齢によっても適量は異なるため、あくまでも目安として考えることが大切です(注4,5)。
糖尿病と高カカオチョコレート摂取の影響と注意点
糖尿病は、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度が高い「高血糖」の状態が続く病気です。通常、食事前の血糖値は約70~100㎎/dlで、これは膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンが血糖を調節します。
しかし、糖尿病ではインスリンの不足やその作用の低下が原因で、血糖値の上昇を抑える機能(耐糖能)が低下し、高血糖が慢性的に続いてしまいます。特に甘いものは血糖値を急激に上昇させるため、注意が必要です。
高カカオチョコレートは、比較的糖質が控えめなうえ、低GI食品とされていますが、カロリーや脂質が高い傾向があります。少量を楽しむ場合でも、主治医や管理栄養士と相談しながら摂り入れることが推奨されます(注6,7)。
高カカオチョコレートを食べるときのおすすめのタイミングと食べ方
特に糖尿病の方は、高カカオチョコレートを含むおやつを食べる際には、次のポイントにも気をつけましょう(注8,9)。
・午前中に食べる
朝から昼頃までは、心身が活性化してエネルギー消費が高まります。一方で、夜遅くに摂ると、そのエネルギーが脂肪として蓄積されやすく、太りやすくなります。
・出かける前に食べる
食後、身体を動かすことで血液中のブドウ糖を筋肉で消費し、血糖値を下げる効果があります。食後1〜2時間以内に出かけるのが理想的です。
・毎日食べない
毎日食べるのは避け、食べる場合でも空腹時には量が多くなりがちなので控えましょう。
・他の人と一緒に食べる
チョコレートを1人で食べるとついつい食べ過ぎてしまうことがあります。誰かと一緒に食べることで、コミュニケーションの場となり、食べ過ぎを防ぐことができます。
まとめ
高カカオチョコレートは、さまざまな健康効果が期待できますが、カロリーや脂質が高いため、食べ過ぎには注意が必要です。特に糖尿病の方は、主治医と相談しながら摂取することが大切です。また、カカオの割合によって味が異なるため、自分の好みに合ったものを見つけて楽しんでください。