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血圧と塩分の関係性を解説!高血圧を防ぐための食事のポイントも紹介

「高血圧を予防するために塩分を控えよう」と言われているのは、血圧と塩分の摂取には深い関係があるからです。高血圧は動脈硬化や脳卒中、心疾患などの重大な疾病のリスクを高めるため、日頃から塩分を控える必要があります。今回はなぜ塩分と血圧が関係しているのか解説するとともに、高血圧を防ぐための食事のポイントを紹介します。

目次

なぜ塩分を摂りすぎると血圧が上がるの?


塩分を摂りすぎると血圧が上がる主な理由は、体内で水分のバランスが崩れるためです。具体的には、塩分(ナトリウム)を過剰摂取すると、体内の塩分を薄めようとして水分を保持します。この水分量の増加が血液量の増加につながり、結果として血管内の圧力、つまり血圧が上昇します。加えて、ナトリウムの血管を収縮させる作用も、血圧上昇に関与しているのです。


また、高血圧になると以下のような重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。


・動脈硬化
・脳卒中(脳出血・脳梗塞)
・心疾患(狭心症・心筋梗塞)
・腎臓病
・認知症


したがって、塩分の摂取を控えることは血圧管理に重要であり、合併症の予防に効果的です。

塩分を控えるだけでは不十分?


血圧を下げるために塩分摂取量を控えることは非常に重要ですが、高血圧の原因は塩分だけではありません。


【塩分以外の高血圧の原因】

・肥満
・喫煙
・過剰なアルコール摂取
・運動不足
・睡眠不足
・ストレス


肥満は心臓や血管に負担をかけ、血圧を高めます。喫煙はタバコに含まれるニコチンが血管を収縮し、血圧を上昇させます。 また、アルコールの過剰摂取も血圧を急激に上げる原因です。さらに、運動不足や長期的なストレス、睡眠不足は体の自然な血圧調整機能を妨げ、血圧を高めることになります。


これらの要因が絡み合うことで高血圧が進行するため、まずは健康的な生活が送れているか、見直しが必要です。もし運動習慣がないのであれば、毎日30分歩く、エレベーターを使わず階段を歩くなど適度な運動を取り入れてみましょう。


特に減量は効果的で、1kg減量にあたり最高血圧は約1mmHg、最低血圧は約0.9mmHg低下すると言われています(※1)。禁煙や節酒、十分な睡眠を確保することも、適正な血圧維持に役立ちます。

カリウムの摂取も重要

カリウムには体内の余分なナトリウムを排出する働きがあることから、高血圧の予防に効果的とされています。生活習慣病の予防を目的に、1日のカリウムの摂取量を以下のように定めています(※2)。


成人男性:3,000mg以上/日
成人女性:2,600mg以上/日


カリウムは野菜や果物、海藻に多く含まれているため、日頃からこれらの食品を意識して取り入れるとよいでしょう。


<カリウムを多く含む食品の例>

代表的な食品
野菜・ブロッコリー
・ほうれん草
・きゅうり
・枝豆 など
果物・バナナ
・スイカ
・アボカド
・キウイフルーツ など
海藻・わかめ
・昆布
・ひじき など

なお、カリウムは水に溶けやすいという性質があります。野菜を水にさらしすぎると、カリウムの摂取量が減ってしまうため、なるべく短い時間に留めましょう。カリウムを余さず摂取するには、汁ごと食べられるスープがおすすめです。

高血圧を防ぐための食事のポイント


1日の塩分摂取量は、健康的な成人で男性/7.5g未満、女性/6.5g未満と定められています(※2)。すでに高血圧と診断されている場合、合併症を防ぐために1日の塩分摂取量は6g未満に抑えることが推奨されています(※1)。


塩分摂取量の目標量を数値だけで見ると分かりづらいかもしれませんが、実は普段の食事には多くの塩分が含まれているのです。


料理名塩分相当量
醬油ラーメン5.7g
カレーライス3.3g
鮭の塩焼き1.4g
食パン(6枚切1枚あたり)0.8g

しかし、ただ塩分を減らすのでは味気のない食事になり、長く続けられません。減塩生活は長く続けてこそ効果を発揮するため、無理なく続けるための食事のポイントを紹介します。

家庭での減塩ポイント

家庭では、以下の基本的なポイントを抑えましょう。


・出汁・香辛料・香味野菜・減塩調味料を上手に活用
・汁物は具を増やす
・野菜は1日350g以上


塩分を減らしただけの食事は、おいしいとは言えません。そのため、塩分を減らす際は「出汁を効かせる」「カレー粉や唐辛子などの香辛料を活用する」「大葉やにんにくなどの香味野菜を使う」「減塩醤油や減塩味噌などの減塩調味料を取り入れる」といった工夫が必要です。これらの方法には塩味をカバーする働きがあり、少ない塩分でも味をしっかりと感じられるようになります。


また、汁物は塩分が多くなりやすく、味噌汁1杯に約1.2gの塩分が含まれています。汁物は野菜の補給源となるだけでなく、味噌などの発酵食品により腸の調子を整えられるなど、メリットがたくさんあります。そのため、汁物を食べるときは汁をいつもの半分程度に減らし、その分具をたっぷり入れるとよいでしょう。


塩分を抑えるテクニックは、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

減塩習慣を始めよう!塩分を控える理由と減塩のコツ


そして野菜は1日350g以上摂ることで、カリウムが適量摂取できると期待されてます(※3)。具体的には、小鉢5皿分を目安にしましょう。1食に1~2皿の野菜の小鉢を加えるのが理想です。毎食野菜を使った副菜を作るのが難しいときは、常備菜を作っておいたり、お惣菜を活用したりする方法もあります。ただし、お惣菜の場合は成分表示を確認し、なるべく塩分の少ないものを選ぶとよいですね。

外食時の減塩ポイント

外食は家庭とは異なった注意点があります。


・出汁・香辛料・香味野菜・減塩調味料を上手に活用
・サラダなど野菜料理は積極的に注文
・麺類の汁は必ず残す
・アルコールは適量


例えばランチタイムはゆっくりできないことも多く、丼ものなど単品で注文しがちですが、塩分摂取量が多くなるだけでなく、野菜が不足しカリウムを十分に摂取できない可能性が高くなります。そのため、できるだけいろいろな食品が食べられる定食を注文するようにしましょう。もしサラダなど野菜のおかずがあれば、積極的に注文するといいですね。


また、麺類の汁は残すのが鉄則です。麺よりも汁に塩分が多く含まれているため、汁を残すだけでも減塩につながります。


外食時、アルコールを注文することもあると思いますが、過度な飲酒は禁物です。血圧を上げるだけでなく、アルコールにより理性が鈍り、暴飲暴食して塩分を過剰摂取する可能性があります。

腎臓病でカリウム制限がある方への注意点

先ほど、カリウムは高血圧予防に効果的と説明しましたが、腎臓病のステージ3b以降の方はカリウム制限が必要です(※4)。


ステージカリウム
ステージ1~3a制限なし
ステージ3b2,000mg未満/日
ステージ4~51,500mg未満/日

出典:CKDステージによる食事療法基準より「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」


これは、腎臓の機能が落ちていると体内のカリウムが排出されにくくなるからです。本来カリウムは余分な塩分を排出するなど、体によい働きをしますが、血液中のカリウムが増えすぎると不整脈などの原因となります。腎臓病によりカリウム制限が必要な方は、野菜を茹でこぼしてから食べたり、カリウムの多い食品を極力減らすといった工夫が必要です。


なお、人によって状態が異なりますので、必ずかかりつけ医や管理栄養士に指示された食事療法を実行するようにしましょう。

まとめ

塩分の過剰摂取を長く続けると、高血圧のリスクが高まります。ただ血圧が高くなるだけでなく、心疾患や脳卒中などの重大な疾病を招く可能性があるため、早めに対策するとよいでしょう。食事面での高血圧予防は「減塩を心掛ける」「カリウムを意識して摂る」の2点が効果的です。健康を守るためにも食事の塩分量やカリウム摂取量を見直し、適切な生活習慣を心がけましょう。

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参考文献

※1.日本高血圧学会|高血圧治療ガイドライン2019
※2.厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
※3.厚生労働省|健康日本21
※4.日本腎臓学会|慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版

この記事を書いた人

端場愛
管理栄養士
学生寮や老人保健施設で実務経験を積んだのち、フリーランスの管理栄養士に。食べ物と体の関係を分かりやすく伝え、少しでも多くの人に健康になってもらうことを目標に、ライターとして活動中。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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