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うなぎの栄養は高齢者の健康管理に役立つ?効果や注意点を管理栄養士が解説

日本人が好きなうなぎ。精をつける食べ物として、昔から親しまれてきましたが、どんな栄養分が含まれているかご存知ですか?健康を維持したいけど食欲や体力が落ちて不安、という高齢者に役立つかどうかも含めて、うなぎの栄養分と効果効能を解説していきます。

目次

うなぎの栄養は高齢者に役立つ?

うなぎの栄養分は、高齢者の栄養強化に役立つでしょう。歳を重ねていくと、食事量の減少が起き、必要な栄養分も摂りづらくなってしまいます。栄養不足は、体力や免疫力の低下につながり、健康面の心配事を増やします。


そんなときに、うなぎのたんぱく質やビタミン、ミネラル、良質な脂が高齢者の健康維持を助けてくれますよ。そんなうなぎの効果効能を、くわしくみていきましょう。

うなぎの栄養と効果効能


うなぎにはさまざまな栄養素が豊富で、高齢者にとってうれしい効果効能があります。うなぎを食べることで期待できる効果を解説していきますね。

筋肉の維持

歳を重ねたり栄養分が不足したりして、筋肉量は減っていきます。筋肉の維持にはたんぱく質が欠かせません。特に、「良質な」たんぱく質を摂るのがおすすめです。良質なたんぱく質とは、体内のたんぱく質の合成に必要なアミノ酸が、バランスよく含まれているものを指します。


日本人の食事摂取基準(2020年版)では、60歳以上女性における、一日のたんぱく質の推奨量は50gです。それに対し、うなぎは一切れ(150g)で25.7g。いかにうなぎのたんぱく質が多いのかがわかりますね。さらに、うなぎは良質なたんぱく質に該当します。効率良く、しっかりたんぱく質が摂りたい方は、うなぎを取り入れてみてはいかがでしょうか?

効率的なエネルギー補給

うなぎは、食欲が低下している方のエネルギー補給にもおすすめです。エネルギー不足は疲労感や食欲不振、体のだるさを引き起こす原因になります。しかし、食欲がない方は食事から十分なエネルギーを補給するのが難しいのも事実です。


うなぎの蒲焼きは一切れ(150g)あたり428kcalと、カロリーが高めです。そのため、少量でカロリーが摂れるメリットがあります。さらに、うなぎに豊富なビタミンB1にはエネルギーの産生を促す効果もあるのです。少量で効率よくエネルギー補給ができるうなぎは、食欲のない方こそ、摂ってほしいですね。

免疫機能の強化

高齢者の健康維持には、菌やウイルスに負けない体づくりがとても大切です。うなぎに含まれるたんぱく質やビタミンA、ビタミンE、亜鉛が免疫機能維持に役立ってくれますよ。たんぱく質は、免疫物質を構成する材料です。一方、ビタミンAやビタミンEは、老化や免疫機能の低下の原因となる活性酵素を抑える効果があります。亜鉛は、全身の細胞内にあり、侵入してきたウイルスや細菌の防御をになう栄養素です。


このように、免疫力の維持には食事がかかせません。うなぎのような栄養分の高い食べ物を意識して摂りたいですね。

骨の健康維持

加齢とともに心配になるのが、「骨粗鬆症」。そんな骨の健康を維持するには、カルシウムやビタミンDが大切です。体内のカルシウムの99%は骨と歯に存在するほど、カルシウムの摂取は欠かせません。しかし、近年の日本人は、すべての年代の男女でカルシウムが不足しているといわれているのです。


また、カルシウムの体内での吸収率は2~3割と少ないため、骨の定着をサポートするビタミンDも一緒に摂る必要があります。うなぎはカルシウム、ビタミンDどちらも豊富なため、骨の健康維持に役立つ食べ物といえるでしょう。

認知症の予防

うなぎのもつEPAやDHAは、アルツハイマー型認知症の発症リスクや、加齢による認知機能の低下予防が期待される栄養分です。EPAやDHAはうなぎのほか、青魚などの魚類に豊富に含まれています。また、これらは体内で作られないので、食べ物から摂る必要があります。


認知機能の低下は、高齢者で起きやすい症状のひとつでもあるため、今のうちから意識して摂りたいですね。

うなぎの効果的な食べ方


うなぎの効果効能を紹介しましたが、うなぎの栄養分を活かすためには、どのように食べればよいのでしょうか。ここでは、うなぎの効果的な食べ方を3つ紹介します。

ごはんと一緒に食べる

うな重といった、うなぎとごはんの組み合わせは、理にかなっています。ごはんの持つ糖質を、うなぎのビタミンB1が効率よくエネルギーに変えてくれるためです。


エネルギー不足は、疲労感や筋肉の減少につながりやすいとされています。毎日を元気に過ごすためにも、うなぎを食べるときは、ごはんと一緒に摂りましょう。

野菜や海藻類と一緒に食べる

うなぎを食べるときは、野菜や海藻類と一緒に食べるのがおすすめです。うなぎの栄養分は高いですが、ビタミンCが不足していたりコレステロールが高かったりします。


パプリカやブロッコリーはビタミンC補給に適しており、オクラやめかぶなどの水溶性食物繊維が豊富な食品は、コレステロールの吸収を抑えてくれますよ。

油をつかって調理する

うなぎに豊富なビタミンAやビタミンE、ビタミンDを摂りたいときは、油を使った調理方法がおすすめです。これらは「脂溶性ビタミン」といわれ、油によって吸収率が高まります。


脂溶性ビタミンは、老化や免疫力維持に役立つ抗酸化作用をもつ栄養素です。スープにするときは油をひとたらしするなど、うなぎの栄養分をしっかり吸収するためにも、油を活用してみましょう。

うなぎの注意点


うなぎの効果効能や、効率のよい摂り方についてわかりましたね。しかし、高齢者がうなぎを食べるときに、注意が必要な点もあります。注意点を把握のうえ、うなぎを活用してくださいね。

小骨が多い

うなぎを食べるときは小骨に注意してください。高齢になると、飲み込む力が低下するといわれています。小骨によって誤嚥(食道ではなく気道に食べ物が流れること)が起き、最悪の場合、肺炎につながるおそれがあります。


小さく切ったりよく噛んで食べたりするなど、食事の摂り方を工夫できると安心です。

塩分が高い

高血圧症や腎機能の低下がある方は、塩分の取り過ぎに気をつけましょう。うなぎの蒲焼きは、一切れ(150g)あたり約2.0gの塩分があります。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、高血圧症や腎臓病のある方の食塩摂取量の目標値は、一日6.0g/未満です。うなぎの蒲焼き一切れで1食分の塩分に到達する計算です。


さらに漬物や汁物があると、より塩分を摂ってしまいます。うなぎをメインで食べるときは、汁物や漬物は控えるなど、塩分を調整するのが大切です。

食べすぎない

栄養分が高く、高齢者の健康管理にもおすすめのうなぎ。しかし、摂り過ぎには注意したいところです。うなぎの脂質はEPAやDHAなど、よい脂肪酸が豊富ですが、コレステロールも高めです。そのため、コレステロールが気になる方は、一切れ(150g)以上にしたり頻回に食べたりすることは避けましょう。


また、たんぱく質はうなぎの蒲焼き一切れあたり34.5gです。腎臓の機能が低下している方は、塩分だけでなくたんぱく質の摂り過ぎにもつながるおそれがあるため、食べてよい一日のたんぱく質量を医師に確認のうえ、摂ってくださいね。

うなぎの高い栄養で健康を維持しよう

うなぎは、食事量が減りがちな高齢者の効率的なエネルギー補給になるだけでなく、免疫力や筋肉の維持を助ける栄養素が豊富です。より効率よくうなぎの栄養分を取り入れるためには、ごはんや野菜、海藻類と一緒に摂るのがおすすめです。


しかし、うなぎはコレステロールや塩分、たんぱく質が多いため、高血圧症や腎機能の低下がある方は、食べる量には注意してください。また、飲み込む力が弱い方は、よく噛んで食べることを意識しましょう。活力のある毎日を過ごすためにも、おいしくて栄養満点のうなぎを活用してみてはいかがでしょうか?

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参考文献

日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省
文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|魚介類/<魚類>/うなぎ/養殖/生
文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|魚介類/<魚類>/うなぎ/かば焼

この記事を書いた人

佐久間愛子
管理栄養士
管理栄養士として介護・医療業界を経験。病院経験を経て予防医療の大切さに気づき、現在は特定保健指導や糖尿病の重症化予防に取り組む。今までの経験を活かし、栄養・健康分野のライターとしても活動中。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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