果物の糖質量はどのくらいある?安心して活用できる方法を管理栄養士が解説
そもそも果物は体によいのか
果物はビタミンやミネラル、食物繊維などの体に必要な栄養素が摂れる食べ物です。お菓子のかわりに摂ることで、効率的な栄養補給もかないます。ビタミンやミネラルは、代謝や免疫機能維持を助ける栄養素です。車でいうとエンジンオイルのような存在で、体をスムーズに動かすために欠かせません。
一方食物繊維は、便秘や食後の高血糖対策にも役立ちます。そんな体にメリットの多い果物でも、摂り過ぎは血糖値の上昇を招いたり、中性脂肪を増やしたりします。さらに、生で食べるとカリウムも多く摂ってしまうのです。以上のことから、果物を楽しむときは”適量”を意識したいですね。
果物の糖質量はどれくらいある?
まずは代表的な果物の糖質量を紹介します。上手に活用するためにも、糖質の高い、低い果物を知っておきましょう。
代表的な果物の糖質量一覧(100gあたり)
・バナナ(中1本) 21.4g
・ぶどう(小ひと房) 16.0g
・キウイフルーツ(大1個) 10.8g
・ブルーベリー(70粒) 9.6g
・オレンジ(大1/2個) 9.0g
・いちご(中粒7個) 7.1g
※( )内は100g相当サイズ・量
果物の種類によって、糖質量が大きく異なるのがわかりますね。最近は、糖度の高い種類も多いため、実際はこれよりも糖質量が多くなるおそれがあることも念頭に置いておきましょう。
糖質が気になるときはなにを選ぶ?
同じ量で比較したときに一番糖質が低いのが、いちごです。一方、バナナの糖質は高いため、食べ過ぎには注意しましょう。グレープフルーツは1/2個食べても糖質量は9.0gしかありません。しかし、砂糖をかけると一気に糖質量が増えてしまうため、そのまま食べることをおすすめします。
また、果物で摂れるビタミンやミネラル、食物繊維は野菜でも摂取可能です。そのため、どうしても果物を摂るのに抵抗感がある場合は、野菜の摂取量を増やすのもひとつですよ。
腎臓病の方が果物を摂るときのコツ
一日あたりどれくらいの果物を食べてよいか、気になりますよね。厚生労働省で提唱している「食事バランスガイド」では、果物は一日2SV(サービング)が適量とされています。いちごであれば12粒が2SV相当です。ただし、糖質の量は果物の種類によって異なる点に注意が必要です。
厳密に1日に食べる果物の糖質量を決める場合は、「一般社団法人 食・楽・健康協会」が提唱するロカボを参考にしてみてはいかがでしょうか?間食の糖質量は10gまでとされていて、いちごであれば約10粒です。果物を食べるタイミングは、活動量が多い朝や昼がおすすめですよ。
果物のカリウム量はどれくらい?
糖質の次は、カリウム量に着目します。腎臓病のある方は、場合によってはカリウム制限があるため、該当する方は意識したいところです。先ほど紹介した果物で、カリウム量もみていきましょう。
代表的な果物のカリウム量一覧(100gあたり)
・バナナ(中1本) 360mg
・キウイフルーツ(大1個) 300mg
・ぶどう(小ひと房) 220mg
・いちご(中粒7個) 170mg
・オレンジ(大1/2個) 140mg
・ブルーベリー(70粒) 70mg
※( )内は100g相当のサイズ・量
バナナやキウイフルーツは、カリウムが多い種類のため、頻回に生で食べないよう気を付けてくださいね。一方、ブルーベリーやいちごはカリウムだけではなく、糖質も低い種類です。
なぜカリウム制限が必要なのか
腎臓病では、カリウム制限が必要な場合があります。腎機能の低下により、体外へのカリウムの排出量が減るためです。過剰なカリウムが体内に溜まると、筋肉低下や不整脈が起きるおそれも。
一般的には、血清カリウム値が5.5 mEq/L以上でカリウム制限が必要とされますが、腎臓病のステージや医師の指示により異なります。カリウム制限の指示があれば、それに合わせてくださいね。
腎臓病の方が果物を摂るときのコツ
生の果物を食べる場合、カリウムが低い種類を選ぶと安心です。さらにカリウムを減らしたい場合は、水に30分程度さらしてみましょう。カリウムは水に溶ける性質があるためです。
食べるタイミングは、エネルギー補給もかねて間食で摂れるとよいですね。また、野菜や芋類にもカリウムが多く含まれているため、食事からのカリウム摂取量も考慮して調整してください。
果物の加工品はよい?
果物の糖質やカリウム量について解説しました。では、果物の加工品は利用してもよいのかも気になりますよね。その疑問にもお答えします。
缶詰
シロップに漬けているため、生の果物よりも糖質が高くなります。糖質が気になる方は生の果物を優先的に摂るとよいですね。一方、カリウムは缶詰のほうが生の果物よりも低いだけでなく、エネルギー補給もかないます。しかし、シロップのなかにカリウムが溶け出しているため、シロップごと食べるのはひかえましょう。
ドライフルーツ
糖質とカリウムが生の果物よりも高いため、食べる量には注意が必要です。例えば、干しぶどうでは、同じ量の生のぶどうよりも糖質は約5倍、カリウムは約3倍高くなります。しかし噛みごたえがあるドライフルーツは、少量で満足感がでて、保存も効くメリットも。そのため、生の果物が食べられないときや、皮をむくのが大変なときに活用するのもひとつですね。
カリウムの制限がある場合は、少量でもカリウムを多く摂ってしまうため、できるだけドライフルーツは避けてください。
果物ジュース
健康によいイメージの果物ジュースですが、生の果物よりも血糖値が上がりやすいとされています。加工の段階で食物繊維が減ることや、すぐに胃に流れ込むためです。そのため、血糖値が気になる場合は、生の果物を摂るとよいですね。
また、カリウムは水に溶ける栄養素のため、ジュース内に溶け残っています。カリウム制限がある場合は、缶詰やカリウムの低い生の果物を利用したほうが安心です。
特徴を知れば、果物は楽しめる
糖質は気になるけど、果物は摂りたい。その場合はいちごやオレンジなどの低糖質の果物を選んでみましょう。また、食べるときは朝や昼など、活動量が高い時間帯がおすすめです。
カリウムを気にする場合は、一度水にさらすと、よりカリウム量が抑えられますよ。ただし、果物ジュースやドライフルーツなどの果物の加工品は、生の果物よりも糖質もカリウムが高くなるため、注意してくださいね。
果物は栄養補給のために摂りたい食べ物です。しかし、これらの栄養素は野菜にも含まれます。糖質を気にし過ぎてしまうようであれば、野菜の摂取量を増やすのもひとつですよ。不安なく食事を楽しむためにも、各果物の糖質量やカリウム量を知り、上手に活用していきましょう。
※医師の指示がある場合は、指示に合わせて選択してください。