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糖尿病の方も安心!コンビニ食の上手な活用方法を管理栄養士が解説

自炊が難しいときや、疲れているときに手軽に利用しやすいコンビニ食。しかし、カロリーが高いイメージもあり、血糖値のコントロールを考えると、何を選んで良いかわからない方も多いのではないでしょうか。コンビニ食を安心して利用する鍵は、「組み合わせ」です。管理栄養士が、コンビニ食を活用するときの考え方や、おすすめ組み合わせ例を解説します。

目次

コンビニ食の注意点


まずはコンビニ食の特徴を理解しましょう。理解しておくことで、コンビニ食を上手に活用するヒントが見つかりますよ。

1. 主食の量が多い

一般的な弁当のごはんの量は約250g、普通茶碗1.5杯相当です。そのため、お弁当のごはんを食べきることでカロリーや糖質オーバーにつながり、血糖値の急上昇や体重増加のおそれも。


ごはんを1/3程度残して次の食事に取っておいたり、ひとまわり小さいサイズのお弁当にしたりするなどで対策してみましょう。(※1)

2. 塩分が高い

コンビニ弁当の食塩相当量は、3~4g。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標とする一日の食塩相当量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。また、高血圧症のある方は一日6.0g未満が目標とされていますよ。


このことからも、コンビニ弁当の塩分の高さがうかがえますね。塩分の摂り過ぎは高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲増進作用があると考えられているため、塩分摂取量には気をつけたいですね。(※1,2,3,4)

3. 脂質が高い

コンビニ弁当は肉や揚げ物類が多いのも、選びにくい理由のひとつです。一般的に、肉類や揚げ物の弁当は脂質が高いです。カロリーも高くなりやすいため、カロリーオーバーにつながり、肥満を引き起こすおそれも。


肥満や高脂肪食は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が効きにくくなる要因にもなるため、脂質の摂取量にも気をつけたいところですね。(※4,5)

4. 食物繊維やたんぱく質が不足しやすい

唐揚げ弁当やハンバーグ弁当など、メインとごはんが中心の種類は、食物繊維が不足しやすいです。食物繊維の不足は、血糖値の急上昇につながることもあります。


また、パンだけ・ごはんだけといった主食の単品食べも、食物繊維やたんぱく質が不足しやすいので、単品食べは避けましょう。(※4,6)

「組み合わせ方式」がおすすめ!


コンビニの特徴が分かったところで、どうしたら血糖値の急上昇や体重増加を抑えられるのかが気になりますよね。コンビニ食を利用するときのポイントを、理由とともに解説していきます。

1. 主食+主菜+副菜を基本に

血糖値の良好なコントロールには、「主食+主菜+副菜」が大切です。このバランスが整うと、食べたものを効率的に体や脳を動かすエネルギーに変えたり、満足感を得つつカロリーや糖質が抑えられたりなどが期待できます。


しかし、弁当単品でバランスを整えるのは難しいため、単品の総菜を組み合わせる方法がおすすめですよ。(※7)

2. 付属の調味料は全部かけない

塩分の摂り過ぎ防止のためにも、付属の調味料は全部かけないようにしましょう。塩分の摂り過ぎは、高血圧症のリスクが高まるだけでなく、食欲が増してしまうおそれもあるためです。


一般的な醤油小袋1個分の塩分は、0.7g程度のため、付属の調味量をかけない・少量にするだけでも、塩分摂取量が減らせますよ。(※1,3)

3. 食べかたも意識する

食べかたも、良好な血糖値を維持する方法のひとつです。野菜やたんぱく質から先に食べる、という「食べる順番」を意識すると、血糖値の急上昇が抑制できることがわかっています。


さらによく噛んで、ゆっくり食べると血糖値の上昇が緩やかになりやすいだけでなく、満足感も高まるため、食べ過ぎ防止にもつながりますよ。これらは、今すぐできる方法なので、ぜひ意識してみてくださいね。(※7,8)

組み合わせ例6選


コンビニの総菜を組み合わせて利用するメリットがわかりましたが、いざ実践となると何を選んでよいかわからないですよね。そこで、コンビニでの組み合わせ例を6つ紹介します。ここから自分なりにアレンジしていくのもおすすめですよ。

おにぎり/生野菜サラダ/ゆで卵

【栄養価】
カロリー 295kcal
たんぱく質 10.9g
脂質 9.6g
糖質 48.6g
食物繊維 2.6g
食塩相当量 0.9g


おにぎり1個だと物足りなさを感じやすいですが、野菜やたんぱく質と合わせることで、満足感を高めつつカロリーや糖質も抑えられます。生野菜やゆで卵を使うと、噛み応えが生まれ、自然と噛む回数が増えます。噛む回数を増やすと満足感が高まり、食欲が抑まりやすいでしょう。


さらに、サラダやゆで卵を先に食べると、血糖値の急上昇の防止につながりますよ。(※7,8)

ミックスサンド/ギリシャヨーグルト/ミネストローネ

【栄養価】
カロリー 415kcal
たんぱく質 23g
脂質 17.9g
糖質 38.0g
食物繊維 3.6g
食塩相当量 2.4g


パンを食べたいときに、おすすめの組み合わせです。あんぱんやチョコパンなどの菓子パン類は、カロリーや糖質が高いので、血糖値の急上昇を引き起こしやすい種類です。野菜やたんぱく質が含まれているミックスサンドを選択した方が、食物繊維やたんぱく質、糖の代謝にかかわるビタミンなどが摂りやすいですよ。


さらに、ミネストローネといった具沢山の汁物を付けると、バランスがより整いやすくなるでしょう。ギリシャヨーグルトは、たんぱく質が摂りやすい食べ物のひとつです。カルシウムが摂れるのもよいですね。インスリンの作用が不足すると、骨の代謝異常が起き、骨がもろくなりやすいこともあるので、カルシウムの補給もぜひ意識してくださいね。(※7,9,10)。

もち麦入りパックご飯/照り焼きチキン/海藻サラダ

【栄養価】
炭水化物 478kcal
たんぱく質 26.6g
脂質 16.2g
糖質 47.5g
食物繊維 5.3g
食塩相当量 3.9g


もち麦や玄米などの「全粒粉穀類」は、白米よりもビタミンB群やミネラルが豊富です。さらに、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の生成にかかわるマンガンも白米より多い傾向のため、血糖値が気になるひとは、全粒粉穀類を取り入れてみてはいかがでしょうか?


さらに、鶏肉でたんぱく質を補給するとともに、海藻類やもち麦に含まれる水溶性食物繊維によって、血糖値の上昇を穏やかにしたり脂質の排出を促したりする作用が期待できますよ。

(※11,12,13,14)

冷やしうどん/卯の花/パックめかぶ

【栄養価】
カロリー 616kcal
たんぱく質 13.8g
脂質 18.2g
糖質 95.3g
食物繊維 8.3g
食塩相当量 3.9g


麺類は野菜やたんぱく質が不足しがち。そのため、別でたんぱく質や食物繊維を足せるとよいですね。卯の花の主な材料であるおからは、たんぱく質だけでなく食物繊維も豊富です。


また、めかぶは糖や脂質の吸収を抑える水溶性食物繊維が多く含まれていますよ。(※14,15,16)

カップ麺/ゆで卵/スティック野菜

【栄養価】
カロリー 619kcal
たんぱく質 18.4g
脂質 34.6g
糖質 55.8g
食物繊維 5.9g
食塩相当量 7.9g(汁を残すと4.9g)


カップラーメンは高塩分・高脂質なだけでなく、ビタミンやミネラルが不足しやすい食品です。そのため。カップラーメン単体ではエネルギー代謝が上手くいかずに、血糖値の急上昇や、脂肪が溜まりやすくなるおそれも。


食べるときは、たんぱく質と食物繊維を足すように意識したいですね。また、カップラーメンの塩分は約6gと、高塩分であるのも気をつけたいところです。汁を残すことで、1/2~1/3の減塩になりますよ。(※16,17)

幕の内弁当/無塩のトマトジュース

【栄養価】
カロリー 647kcal
たんぱく質 25.1g
脂質 10.0g
糖質 106.1g
食物繊維 13.8gg
食塩相当量 4.5g


組み合わせるのが大変なときに。幕の内弁当は、さまざまな食材が入っているので、バランスが整いやすい弁当のひとつです。


そんな幕の内弁当に手軽に合わせるのが、無塩のトマトジュースです。トマトジュースに含まれるリコピンが、血糖コントロールに役立つと考えられているためです。食前30分前にトマトジュースを飲むことで、血糖値の上昇が抑制される研究結果もありますよ。塩分の摂り過ぎ防止のためにも、必ず「無塩」のトマトジュースにしてくださいね。(※18)

コンビニ食でも血糖値のコントロールはできる

自炊が難しい方や、忙しいときにコンビニは便利ですよね。しかし、種類によっては主食が多かったり、カロリーや塩分が高かったりなど、良好な血糖値のコントロールの妨げになるおそれも。


満足感を得ながら血糖値の良好なコントロールをかなえるには「組み合わせ方式」がおすすめです。主食+主菜+副菜を意識することで、いままで食べるのを我慢していたメニューも、楽しめるかもしれませんよ。


さらに、食べる順番や時間もぜひ意識してみてくださいね。オリジナルの組み合わせを楽しみながら、血糖値を良好にコントロールしていきましょう。

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参考文献

※1栄養管理室より∼ コンビニ弁当の賢い選び方について|国立病院機構 姫路医療センター
※2日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省
※3わがままボディの解消には 「減塩」 も大切! |大分県
※4中食、外食市場の動向と課題|財務省
※5インスリン抵抗性|厚生労働省
※6血糖コントロールについて学びましょう|公益財団法人 福井県予防医学協会
※7健康食スタートブック|日本糖尿病協会
※8ゆっくり食べる|農林水産省
※9カルシウム|公益財団法人長寿科学振興財団
※10糖尿病合併症のひとつ「骨粗鬆症」 ■ 糖尿病が骨の健康に ...|市立三次中央病院
※11栄養のはなし|ふたば薬局
※12文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|穀類/こめ/[水稲めし]/精白米/うるち米
※13麦ご飯|カロリーSlism
※14食物繊維の必要性と健康|厚生労働省
※15文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|豆類/だいず/[その他]/おから/生
※16たんぱく質不足に気をつけよう|城東病院
※17公益財団法人やまがた健康推進機構 / 減塩のススメ ~食べ方編
※182型糖尿病患者の健康管理-血糖値の改善効果に果たすリコピンの役割-|名古屋文理大学

この記事を書いた人

佐久間愛子
管理栄養士
管理栄養士として介護・医療業界を経験。病院経験を経て予防医療の大切さに気づき、現在は特定保健指導や糖尿病の重症化予防に取り組む。今までの経験を活かし、栄養・健康分野のライターとしても活動中。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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    お酒を飲み過ぎるとどうなる? お酒を飲むと、アルコールは2割が胃で、残りは小腸で吸収され、肝臓に運ばれます。アルコールは肝臓で分解され、「アセトアルデヒド」という物質になります[2]。 一般的に、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気といった二日酔いの症状は、このアセトアルデヒドが肝臓で十分に処理しきれず、体内に蓄積されたものと言われています。しかし、実際には、二日酔いの症状があってもアセトアルデヒドが検出されることが稀であり、体質によっては、アセトアルデヒドの血中濃度が低くても、二日酔いの症状が出ることがわかっています。 また、アルコールの刺激によって胃が荒れたり、利尿作用によって脱水症状が引き起こされたりすることなども、二日酔いの不快な症状を引き起こす要因とされています。 このように、二日酔いの症状の原因は、はっきりせず、さまざまな要因が絡み合って起こると考えられますが飲み過ぎると症状が出やすくなるため、過度の飲酒には注意が必要です[3]。 糖尿病とアルコールの関係性は? アルコールを過剰に摂取すると、二日酔いの原因になるだけではありません。肥満や糖尿病の原因となります。アルコールを分解する際、肝臓で中性脂肪の合成が促進されるため、お酒の飲み過ぎによって、内臓に脂肪が蓄積されやすくなります。また、その蓄積した脂肪の影響や膵臓からのインスリン分泌が抑えられることで、血糖値の上昇を引き起こすことがあります。これにより、インスリンの働きを妨げるインスリン抵抗性が進行し、糖尿病のリスクが高まります[4,5]。 糖尿病が進行すると、全身の細い血管や神経に障害が生じ、以下の「三大合併症」が発症することがあります[6]。 <糖尿病の三大合併症> ● 糖尿病網膜症 高血糖によって眼の網膜の細い血管が傷む合併症で、進行すると失明に至る可能性があります。初期には自覚症状がないため、年に1回以上の眼底検査が推奨されます。 ● 糖尿病腎症 高血糖が腎臓の細い血管をむしばみ、進行すると腎臓の機能が低下していきます。最終的には身体の余分な水分や老廃物を尿として排泄できなくなり、透析治療が必要になることがあります。 ● 糖尿病神経障害 高血糖によって全身の細い血管が傷ついたり、神経線維の変性により手足の神経に異常が生じ、痛みやしびれなどの感覚異常が現れる合併症です。進行すると、足潰瘍や足壊疽を引き起こすことがあります。 お酒の“適量”ってどのくらい? 2024(令和6)年から実施された厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本 21(第三次)」では、生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上)を飲酒している者の割合を減らすことを目標としています。 そのため、お酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)に注目することが重要です。 純アルコール約20gに相当するお酒の量は、以下の通りです[7,8]。 <純アルコール約20gに相当する酒量> 種類アルコール度数量 ビール5%中瓶(500ml) 日本酒15%1合(180ml) ワイン(赤)14%180ml 焼酎25%110ml ウィスキー43%60ml ※飲酒量は性別、年齢、体質による個人差があるため、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。「飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクが少なくなる」という報告もあります。 ※上記は一般的な目安量です。実際、飲まれる商品のアルコール度数(%)やサイズをご確認ください。 <「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」は「ゼロ」ではない!?ゼロ飲料の飲み過ぎに注意!> ビールや発泡酒などに「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」と表示されていても、カロリーや糖質は「ゼロ」ではないことをご存知でしょうか。食品表示基準に基づき、飲料で100mlあたり、熱量5kcal未満、糖質0.5g未満であれば「カロリー・糖質ゼロ」と表示できます。くれぐれも「ゼロ」と表記されているからといって、飲み過ぎには注意しましょう[9]。 また、一般的なお酒には以下の糖質量が含まれています。ビールや日本酒は多い一方で、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は少ない傾向にあります[10]。飲酒の際は参考にしてみてください。 <純アルコール約20gに相当する各お酒による糖質量> 種類量カロリー糖質量 ビール中瓶(500ml)195kcal15.5g 日本酒1合(180ml)184kcal6.7g ワイン(赤)180ml122kcal1.8g 焼酎110ml158kcal0g ウィスキー60ml140kcal0g 【参考】文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 ※ビールは淡色/日本酒は清酒(純米酒)/焼酎は単式蒸留しょうちゅう/ワインはぶどう酒(赤)を基に、いずれも差し引き法による利用可能炭水化物量にて算出 お酒の飲み過ぎを防ぐ工夫は? ここで、お酒の飲み過ぎを防ぐ方法をいくつかご紹介します[8]。 ● 空腹の状態は避ける  空腹時にお酒を飲むと、アルコールの刺激によって胃酸が多く分泌され、胃や腸の粘膜を痛める原因に。また、アルコールの吸収スピードが早まり、酔いが回りやすくなります。アルコールを摂取する際は、食事を取りながら空腹状態を避けるようにしましょう。 ● 水分を摂る  お酒を飲むと利尿作用によって脱水症状になりやすくなります。お酒を飲む際は、水も併せて摂ることで飲酒量を調整し、脱水症状を防ぎましょう。 ● 強いお酒は薄めて飲む  焼酎やウイスキーなどアルコール度数の高いお酒は、胃腸への刺激が強く、酔いが回りやすくなります。これが肝臓への負担を増す原因にもなります。水やソーダで薄めて、ゆっくりと楽しむことが大切です。 ● 一口飲むたびにコップをテーブルに置く  お酒を手に持ち続けていると、ついつい飲み過ぎてしまう原因に。一口飲むごとにコップをテーブルに置くことで、自然と飲むペースを抑えることができます。 ● 周囲の人に「お酒を飲めない」ことを事前に伝えておく  お酒を控えている人や飲めない体質の人は、事前に周囲の人にそのことを伝えておくと、無理な勧めを避けられます。自分のペースで飲むことができ、健康管理に役立ちます。 <休肝日を設けることも忘れずに> お酒を飲んだ後、肝臓は休みなく働いています。毎日連続して飲酒すると、肝臓に障害が出る可能性があります。週に2日は休肝日を設け、肝臓を休ませましょう。難しい場合は週1日でも設けるように心掛けましょう。 健康管理におすすめのおつまみリスト お酒を飲む際は、おつまみの内容にも気をつけましょう。アルコールには、食欲増進作用があるため、おつまみを食べ過ぎてしまうことがあります。これがカロリー、脂質、塩分の摂取量増加につながり、糖尿病や脂質異常症、高血圧などのリスクを高めることがあります。お酒を楽しむ際には、以下のようなおつまみを選び、身体をいたわりながら飲むことをおすすめします[11]。 ●野菜・海藻類 野菜や海藻類には、食物繊維が含まれ、急激な血糖値の上昇を抑えるのに役立ちます。飲み始めにサラダや刺身のツマを食べると良いでしょう。ただし、ドレッシングや調味料が多い料理は、脂質や塩分の摂り過ぎにつながるので注意が必要です。 例)野菜・海藻サラダ、野菜スティック、キャベツ、枝豆、もずくなど ● タンパク質がメインの料理 肉や魚、大豆製品などのタンパク源は、アルコールによって負担がかかった肝臓を修復する助けになったり、アルコール分解を助ける酵素の材料となります。タンパク質を摂取することで、肝臓の代謝機能をサポートすることが期待できます。 例)刺身、豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(塩)、卵焼き、枝豆、生ハムサラダ、魚の塩焼きなど ●ビタミンB1を含む料理 アルコールを分解・代謝する際に、大量のビタミンB1が消費されます。飲酒する際は、積極的にビタミンB1を含むものを摂りましょう。豚肉や枝豆はタンパク質を摂りながら、ビタミンB1も摂れるのでおすすめです。 例)豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(レバー)、枝豆、など 逆に、脂質が多いおつまみは避けるようにしましょう。 <避けたいおつまみ> 唐揚げ、天ぷら、ポテトサラダ、マカロニサラダなど 定期的に健康診断も受けよう! 肝臓は沈黙の臓器と言われ、肝臓に障害が起こっても自覚症状がなく、気づいたときには進行している可能性があります。糖尿病も同様に、進行してから気づくことが多い病とされています。病気を予防するには節酒に努めるだけでなく、健康状態を正しく把握するために定期的な健康診断を受けることも重要です。肝機能をはじめ、糖尿病の指標となる空腹時血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)※などを確認することで早期予防・発見・治療につなげていきましょう。 ※赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す値で、過去1~2ヶ月の血糖値の平均値を反映しています。

  • 減塩習慣を始めよう!塩分を控える理由と減塩のコツ

    そもそも塩分ってどんなもの? 「塩分」とは、食品中に含まれている食塩相当量のこと。「食塩」は塩化ナトリウム(NaCl)を主成分とする調味料のことを言います。食塩の主成分である「塩化ナトリウム」に含まれるナトリウムは、ヒトが健康に生きる上で不可欠なミネラルの一つです。ナトリウムは、カリウムとともに細胞の浸透圧を正常に保ったり、血圧の調整に関わったりしています(注1)。 日本人の塩分摂取量が多い現状 厚生労働省によれば、日本人の成人が健康的とされる「食塩摂取量」の目標は、男性が1日あたり7.5g未満、女性が1日あたり6.5g未満です(注2)。さらに、日本高血圧学会や世界保健機関(WHO)は、より厳しい摂取目標を掲げています(注3,4)。 ・日本高血圧学会:食塩摂取量1日6g未満 ・世界保健機関(WHO):1日5g以下 しかし、実際の摂取量の平均は男性が10.9g、女性が9.3gとなっており、目標よりも1日に約3~4gも多く摂取しているのが現状です(注5)。 塩分の取り過ぎに伴うリスク 塩分の取り過ぎが健康に及ぼすリスクは何でしょうか。濃い味や塩辛い食べ物を好んで摂取しすぎると、身体の水分バランスや浸透圧が乱れ、以下のような症状が出やすくなります。これにより、身体には余分な負担がかかり、病気の原因にもなり得ます(注6,7,8)。 ・のどの渇き 塩分の多い食事を摂取すると、血液中のナトリウム濃度が上昇し、身体は一定の濃度を維持しようとして水分が欲しくなります。 ・むくみ 体内の塩分濃度を一定に保とうとする身体の働きにより、身体が水分を溜め込む原因となります。 ・肥満 塩分の過剰摂取によって体内に水分が溜め込まれ、体重増加につながることがあります。 ・高血圧 食塩を摂り過ぎると、体内の塩分濃度を水分で調節して一定に保とうとします。身体の血液量が増え、血圧が上がってしまいます。 ・認知症 中年期(40~64歳)に高血圧である場合、高齢期に認知症(アルツハイマー型認知症・血管性認知症)になりやすいことがわかっています。 塩分を取り過ぎる原因 厚生労働省による「令和元年国民健康・栄養調査」では、食品群別の食塩摂取量を調査したところ、約70%が調味料という結果でした。調味料の中でも、しょうゆ、塩、みそからの摂取が多く、調味料以外の食品では、パン、麺類、干物、かまぼこ、漬物などの食品から摂っていました(注5)。 参照:厚生労働省 「令和元年国民健康・栄養調査報告: 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果」 塩分を上手に抑える5つのテクニック 塩分の摂取量を減らすためには、だしや酸味を上手に活用して、食材のおいしさを引き立てる工夫がおすすめです。さらに、カリウムが豊富な野菜や果物を意識的に取り入れるのも良いでしょう(注9)。 ①旬の食材を使う 旬の食材は、素材の自然な味わいが際立ち、控えめな味付けでも料理をおいしく味わうことができます。 ②だしを利用する 昆布やかつお節、煮干し、干ししいたけなどからとっただしには、うま味物質が豊富。素材の風味を引き立て、塩分を控えつつも料理がおいしく仕上がります。ただし、化学調味料やだしの素には多くの塩分が含まれているので、使用する際は量を調整しましょう。 ③酸味をプラスする 酢やレモン、ゆず、すだち、かぼすなどの柑橘類の搾り汁を活用することで、薄味でも物足りなさを感じさせません。 ④味にアクセントをつける 全ての料理を控えめな味付けにすると、食事が単調に感じられることがあります。一品だけはしっかりとした味わいに仕上げ、食卓にアクセントを加えることで、食欲減退を防ぎましょう。 ⑤調味料は最後につける 味付けは最後の段階で行うのも一つの方法です。最初から味付けを行うと、中心部まで味が均一に染み込んでしまい、塩分の過剰摂取を招く恐れがあります。最後に調味料を加えることで、塩味をより感じやすくしましょう。 <塩分調節に役立つ「カリウム」の重要性> カリウムは、人間の身体に不可欠なミネラルであり、ナトリウムの体外排出を促進し、塩分の過剰摂取を調節する役割があります。カリウムの摂取を意識して行いましょう(注10)。ただし、腎臓機能が弱い場合は摂取を控えた方が良い場合もあるため、不安や疑問がある場合は、医師や管理栄養士に相談しましょう(注2)。 カリウムは、次のような野菜や果物に多く含まれています(注11)。 ・多く含まれている食品:納豆、ほうれん草、わかめ、アボカド、バナナなど ・摂取のポイント:カリウムは水溶性であるため、スープやホイル焼きなどの汁ごと食べられる料理が適しています。果物は生のままで摂取できるので、良いカリウムの源となります。 外食時の減塩のポイントは? 外食時も工夫次第で塩分の摂取を減らすことができます。塩分の少ないメニューを選んだり、食べ方を工夫してみましょう。 ①スープやつゆは、残す 外食のスープは残すことがおすすめです。特に、麺類のスープは多くの塩分を含みます。無意識に飲み干すと1日の塩分摂取量を超えることもありますので、注意が必要です。 ②ソースやタレ、ドレッシングは控えめに ソースやタレなどの調味料は、注文時に少なめにしてもらったり、別添えにして自分で量を調節すると効果的です。 ③定食を選ぶ 単品の丼物やパスタは、ご飯や麺に汁の塩分がしみ込んでしまい、塩分の調節が難しくなります。できるだけ単品は控え、塩分の調節がしやすい定食を選びましょう。 ④食べ過ぎない 低塩分の料理でも、大盛りを選ぶとソースやタレの塩分も増えます。普通盛りを選び、腹八分目を目指しましょう。足りない場合は、野菜や果物をセットにして栄養バランスを考えるとよいでしょう。 ⑤栄養成分表示があれば、メニューの塩分を確認する 最近では多くの飲食店が栄養成分を掲載しています。特にチェーン店ではホームページやメニューに成分が載っていることがあります。外食時にはこの情報を参考にし、塩分の控えめなメニューを選択しましょう。 <外食メニューの塩分量も知っておこう!> メニュー(1人前)塩分量 きつねうどん5.3g にぎり寿司(醤油込み)5.0g 天どん4.1g カレーライス3.3g 【出典】(厚生労働省)「スマート・ライフ・プロジェクトHP」(注12)         減塩食品を上手に使うのも 日本人は調味料からの塩分摂取が多いため、調味料の使い方を見直すことが減塩への一歩です。調味料の量を減らすのが難しい場合は、既存の調味料を減塩調味料に切り替えることもおすすめです。外食時でも減塩のしょうゆなどを持ち歩くのもよいでしょう。 <さまざまな減塩調味料・食品> 減塩調味料減塩商品がある食品 しょうゆ・めんつゆ・中華だし・和風だし・ドレッシング、ソース・塩など梅干し・漬物・佃煮・即席みそ汁・ハム・ベーコン・かに風味かまぼこ・即席めん・ふりかけ、佃煮・せんべい など 【参考】日本高血圧学会「さあ、減塩!~減塩・栄養委員会から一般のみなさまへ~」(注13) まとめ 健康のためには塩分を控えることが大切ですが、塩分を厳しく制限することで人生の楽しみが奪われてしまうこともあります。だしや酸味を活用したり、料理の中で一品だけはしっかり味付けしたり、工夫を取り入れて、減塩を心がけましょう。

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