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お酒の飲み過ぎは要注意!糖尿病のリスクについて知っておこう

お酒には「百薬の長」という言葉があるように、適量のアルコール摂取は、血行促進やストレス解消など心身に良い影響を与えると言われています[1]。しかし、過度な飲酒は、二日酔いになりやすいだけでなく、糖尿病の原因にもなります。

この記事では、アルコールによる糖尿病のリスクや適量の目安、飲み過ぎを防ぐ工夫や健康を考えるうえで理想的なおつまみをご紹介します。

目次

お酒を飲み過ぎるとどうなる?


お酒を飲むと、アルコールは2割が胃で、残りは小腸で吸収され、肝臓に運ばれます。アルコールは肝臓で分解され、「アセトアルデヒド」という物質になります[2]。


一般的に、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気といった二日酔いの症状は、このアセトアルデヒドが肝臓で十分に処理しきれず、体内に蓄積されたものと言われています。しかし、実際には、二日酔いの症状があってもアセトアルデヒドが検出されることが稀であり、体質によっては、アセトアルデヒドの血中濃度が低くても、二日酔いの症状が出ることがわかっています。


また、アルコールの刺激によって胃が荒れたり、利尿作用によって脱水症状が引き起こされたりすることなども、二日酔いの不快な症状を引き起こす要因とされています。


このように、二日酔いの症状の原因は、はっきりせず、さまざまな要因が絡み合って起こると考えられますが飲み過ぎると症状が出やすくなるため、過度の飲酒には注意が必要です[3]。

糖尿病とアルコールの関係性は?


アルコールを過剰に摂取すると、二日酔いの原因になるだけではありません。肥満や糖尿病の原因となります。アルコールを分解する際、肝臓で中性脂肪の合成が促進されるため、お酒の飲み過ぎによって、内臓に脂肪が蓄積されやすくなります。また、その蓄積した脂肪の影響や膵臓からのインスリン分泌が抑えられることで、血糖値の上昇を引き起こすことがあります。これにより、インスリンの働きを妨げるインスリン抵抗性が進行し、糖尿病のリスクが高まります[4,5]。

糖尿病が進行すると、全身の細い血管や神経に障害が生じ、以下の「三大合併症」が発症することがあります[6]。


<糖尿病の三大合併症>


● 糖尿病網膜症
高血糖によって眼の網膜の細い血管が傷む合併症で、進行すると失明に至る可能性があります。初期には自覚症状がないため、年に1回以上の眼底検査が推奨されます。


● 糖尿病腎症
高血糖が腎臓の細い血管をむしばみ、進行すると腎臓の機能が低下していきます。最終的には身体の余分な水分や老廃物を尿として排泄できなくなり、透析治療が必要になることがあります。


● 糖尿病神経障害
高血糖によって全身の細い血管が傷ついたり、神経線維の変性により手足の神経に異常が生じ、痛みやしびれなどの感覚異常が現れる合併症です。進行すると、足潰瘍や足壊疽を引き起こすことがあります。


お酒の“適量”ってどのくらい?


2024(令和6)年から実施された厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本 21(第三次)」では、生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上)を飲酒している者の割合を減らすことを目標としています。

そのため、お酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)に注目することが重要です。

純アルコール約20gに相当するお酒の量は、以下の通りです[7,8]。


<純アルコール約20gに相当する酒量>

種類アルコール度数
ビール5%中瓶(500ml)
日本酒15%1合(180ml)
ワイン(赤)14%180ml
焼酎25%110ml
ウィスキー43%60ml

※飲酒量は性別、年齢、体質による個人差があるため、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。「飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクが少なくなる」という報告もあります。
※上記は一般的な目安量です。実際、飲まれる商品のアルコール度数(%)やサイズをご確認ください。


<「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」は「ゼロ」ではない!?ゼロ飲料の飲み過ぎに注意!>

ビールや発泡酒などに「カロリーゼロ」・「糖質ゼロ」と表示されていても、カロリーや糖質は「ゼロ」ではないことをご存知でしょうか。食品表示基準に基づき、飲料で100mlあたり、熱量5kcal未満、糖質0.5g未満であれば「カロリー・糖質ゼロ」と表示できます。くれぐれも「ゼロ」と表記されているからといって、飲み過ぎには注意しましょう[9]。


また、一般的なお酒には以下の糖質量が含まれています。ビールや日本酒は多い一方で、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は少ない傾向にあります[10]。飲酒の際は参考にしてみてください。


<純アルコール約20gに相当する各お酒による糖質量>

種類カロリー糖質量
ビール中瓶(500ml)195kcal15.5g
日本酒1合(180ml)184kcal6.7g
ワイン(赤)180ml122kcal1.8g
焼酎110ml158kcal0g
ウィスキー60ml140kcal0g

【参考】文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※ビールは淡色/日本酒は清酒(純米酒)/焼酎は単式蒸留しょうちゅう/ワインはぶどう酒(赤)を基に、いずれも差し引き法による利用可能炭水化物量にて算出


お酒の飲み過ぎを防ぐ工夫は?


ここで、お酒の飲み過ぎを防ぐ方法をいくつかご紹介します[8]。


● 空腹の状態は避ける
 空腹時にお酒を飲むと、アルコールの刺激によって胃酸が多く分泌され、胃や腸の粘膜を痛める原因に。また、アルコールの吸収スピードが早まり、酔いが回りやすくなります。アルコールを摂取する際は、食事を取りながら空腹状態を避けるようにしましょう。


● 水分を摂る
 お酒を飲むと利尿作用によって脱水症状になりやすくなります。お酒を飲む際は、水も併せて摂ることで飲酒量を調整し、脱水症状を防ぎましょう。


● 強いお酒は薄めて飲む
 焼酎やウイスキーなどアルコール度数の高いお酒は、胃腸への刺激が強く、酔いが回りやすくなります。これが肝臓への負担を増す原因にもなります。水やソーダで薄めて、ゆっくりと楽しむことが大切です。


● 一口飲むたびにコップをテーブルに置く
 お酒を手に持ち続けていると、ついつい飲み過ぎてしまう原因に。一口飲むごとにコップをテーブルに置くことで、自然と飲むペースを抑えることができます。


● 周囲の人に「お酒を飲めない」ことを事前に伝えておく
 お酒を控えている人や飲めない体質の人は、事前に周囲の人にそのことを伝えておくと、無理な勧めを避けられます。自分のペースで飲むことができ、健康管理に役立ちます。


<休肝日を設けることも忘れずに>

お酒を飲んだ後、肝臓は休みなく働いています。毎日連続して飲酒すると、肝臓に障害が出る可能性があります。週に2日は休肝日を設け、肝臓を休ませましょう。難しい場合は週1日でも設けるように心掛けましょう。


健康管理におすすめのおつまみリスト


お酒を飲む際は、おつまみの内容にも気をつけましょう。アルコールには、食欲増進作用があるため、おつまみを食べ過ぎてしまうことがあります。これがカロリー、脂質、塩分の摂取量増加につながり、糖尿病や脂質異常症、高血圧などのリスクを高めることがあります。お酒を楽しむ際には、以下のようなおつまみを選び、身体をいたわりながら飲むことをおすすめします[11]。


●野菜・海藻類
野菜や海藻類には、食物繊維が含まれ、急激な血糖値の上昇を抑えるのに役立ちます。飲み始めにサラダや刺身のツマを食べると良いでしょう。ただし、ドレッシングや調味料が多い料理は、脂質や塩分の摂り過ぎにつながるので注意が必要です。


例)野菜・海藻サラダ、野菜スティック、キャベツ、枝豆、もずくなど


● タンパク質がメインの料理
肉や魚、大豆製品などのタンパク源は、アルコールによって負担がかかった肝臓を修復する助けになったり、アルコール分解を助ける酵素の材料となります。タンパク質を摂取することで、肝臓の代謝機能をサポートすることが期待できます。


例)刺身、豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(塩)、卵焼き、枝豆、生ハムサラダ、魚の塩焼きなど


●ビタミンB1を含む料理
アルコールを分解・代謝する際に、大量のビタミンB1が消費されます。飲酒する際は、積極的にビタミンB1を含むものを摂りましょう。豚肉や枝豆はタンパク質を摂りながら、ビタミンB1も摂れるのでおすすめです。

例)豚しゃぶ、冷奴、焼き鳥(レバー)、枝豆、など


逆に、脂質が多いおつまみは避けるようにしましょう。


<避けたいおつまみ>

唐揚げ、天ぷら、ポテトサラダ、マカロニサラダなど


定期的に健康診断も受けよう!

肝臓は沈黙の臓器と言われ、肝臓に障害が起こっても自覚症状がなく、気づいたときには進行している可能性があります。糖尿病も同様に、進行してから気づくことが多い病とされています。病気を予防するには節酒に努めるだけでなく、健康状態を正しく把握するために定期的な健康診断を受けることも重要です。肝機能をはじめ、糖尿病の指標となる空腹時血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)※などを確認することで早期予防・発見・治療につなげていきましょう。


※赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す値で、過去1~2ヶ月の血糖値の平均値を反映しています。

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参考文献

[1]厚生労働省, e-ヘルスネット,「栄養・食事・血圧から見た許容飲酒量」
[2]厚生労働省, e-ヘルスネット,「アルコールの消化管への影響」
[3]厚生労働省, e-ヘルスネット,「二日酔いのメカニズム」
[4]厚生労働省, e-ヘルスネット,「アルコールと脂質異常症」
[5]厚生労働省, e-ヘルスネット,「アルコールと糖尿病」
[6]厚生労働省, e-ヘルスネット,「糖尿病」
[7]厚生労働省,「健康日本21(第三次)」
[8]厚生労働省,「「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表します」
[9]消費者庁,「栄養成分表示及び栄養強調表示とは」
[10]文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[11]農林水産省,「お酒を上手に楽しもう」

この記事を書いた人

横川仁美
管理栄養士
管理栄養士の資格を取得後、保健指導や重症化予防を中心に2500人以上へのアドバイス提供。 現在は食専門ライター×料理研究家として執筆・監修、 また企業のブランドイメージに沿ったレシピ提案を行っている。

監修者紹介

木村眞樹子医師
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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