腸活の方法って?発酵食品と食物繊維で腸内健康のススメ
腸活とは?
腸活とは、健康維持や増進のために、食生活や運動などの生活習慣を改善することで腸内環境のバランスを整える活動のことをいいます。私たちの腸内には約1,000種類、100兆個もの細菌が住んでおり、これらの細菌のバランスが腸の健康に影響を及ぼします。腸内細菌は体に有用な「善玉菌」、有害な「悪玉菌」、悪玉菌、善玉菌の中間的な「日和見菌」の3つに分類され、理想的な比率は、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7とされています[1]。
・善玉菌
善玉菌は、腸内環境を弱酸性にすることによって、悪玉菌の増殖を抑えます。さらに、ビタミン(B1、B2、B6、B12、K、ニコチン酸、葉酸など)を腸内で作り、消化吸収を助けます。
代表的な菌:乳酸菌、ビフィズス菌など
・悪玉菌
悪玉菌は、タンパク質やアミノ酸などを分解し、有害な硫化水素やアンモニアなどを生成します。
代表的な菌:大腸菌(有毒株)、ウェルシュ菌、ブドウ球菌など
・日和見菌
悪玉菌、善玉菌のどちらにも属さない菌で、優勢(多い)菌の味方をします。腸内バランスが保たれている状態では無害ですが、悪玉菌が増加すると悪玉菌に加勢します。腸内環境を改善するためには、善玉菌を増やすことが重要です。
代表的な菌:バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌など
腸活のメリットって?
腸活を実践することで、腸の調子が整い、便秘や下痢などの不調や肥満が改善される可能性があります。
さらに、腸には免疫細胞の約6割が存在し、腸内環境を整えることで免疫力を高める効果が期待されます[1,2]。
腸内環境を悪化させる原因
悪玉菌が増えてしまう原因には、次のようなものが挙げられます[1]。
・動物性たんぱく質の摂り過ぎ
・食物繊維の摂取不足
・不規則な生活
・ストレス
・便秘
腸内の状態を簡単にチェックするコツ
腸の健康を把握するために、便の状態をチェックしましょう。便の特徴である「色」「におい」「形状」は、消化器官の健康状態を示す手がかりとなります[1]。
<理想的な便の特徴>
・色: 黄色から黄色がかった褐色
・におい: においはあるが臭くない
・形状: 柔らかいバナナ状
異常に黒っぽい便や不快な臭いがある場合、腸内の健康に関する問題がある可能性があります。
腸活に重要な発酵食品・食物繊維
善玉菌を増やす食品として、発酵食品と食物繊維の摂取が挙げられます。これらの食材の役割を理解し、効果的に摂取しましょう[1]。
腸活と発酵食品との関係
発酵食品では、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を直接、摂り入れることができます。ただし、これらの菌は一時的にしか体内に留まらないため、習慣的に食事に摂り入れるようにしましょう[1]。
代表食材:ヨーグルト、ぬか漬け、キムチ、チーズ、納豆、味噌など
<発酵食品の上手な摂り入れ方>
塩分量には気をつける必要がありますが、
朝食に納豆や味噌汁、昼にヨーグルト、夕食にキムチなど、1食に1~2品追加してみましょう。
腸活における食物繊維の必要性
食物繊維は善玉菌のエサ(栄養源)になります。腸内で善玉菌の増加をサポートし、腸内環境を整えます[1]。
●水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
食物繊維は水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2つの種類があります[3]。
水溶性食物繊維は、麦類や果物、野菜、海藻類に多く含まれ、腸内の善玉菌のエサになります。また、糖や脂質などの吸収を遅らせることで知られています。
不溶性食物繊維は、玄米や雑穀、きのこ類、豆類、根菜に多く含まれ、便のカサを増やし、腸管を刺激して腸の運動を活発化させます。
<食物繊維を多く含む食材例>
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 |
・穀類(麦類など) ・野菜類(オクラ・モロヘイヤなど) ・海藻類(わかめ、こんぶなど) ・果物類(りんごやプルーンなど) |
・穀類(玄米など) ・豆類(大豆、いんげん豆など) ・根菜類(ごぼう、たけのこなど) ・きのこ類(ぶなしめじ、しいたけなど) |
●食物繊維はどれくらい摂ればいいの?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によれば、水溶性と不溶性食物繊維を合わせて18〜64歳の男性は1日に21g以上、女性は1日に18g以上の食物繊維を摂取することが推奨されています」[4]。
<食物繊維の食事摂取基準(g/日)>
性別 | 男性 | 女性 |
年齢等 | 目標量 | 目標量 |
18~29(歳) | 21以上 | 18以上 |
30~49(歳) | 21以上 | 18以上 |
50~64(歳) | 21以上 | 18以上 |
65~74(歳) | 20以上 | 17以上 |
75以上(歳) | 20以上 | 17以上 |
妊婦・授乳婦 | 18以上 |
【出典】厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より
●日本人の食物繊維の摂取量は不足しがち
しかし、令和元年の国民健康栄養調査によると、20歳以上の日本人の実際の食物繊維摂取量は男性が約19.9g、女性が約18.0gで、目標値に達していません[5]。
食物繊維の不足を解消するために、次のようなことを試してみましょう。
<不足しがちな食物繊維を摂る3つのコツ>
・主食に全粒穀物を取り入れる
白米に、玄米や雑穀、麦などを混ぜることで、手軽に食物繊維量を増やせます。
・生野菜を温野菜に変える
野菜は加熱するとかさが減り、食べやすくなります。ただし、水溶性の食物繊維は水に溶けやすいため、電子レンジで加熱するか、スープとして食べることがおすすめです。
・野菜は皮ごと摂る
食物繊維は野菜の皮に多く含まれているため、できるだけ皮ごと摂り入れましょう。
オリゴ糖も善玉菌のエサに
オリゴ糖も食物繊維と同じように、善玉菌のエサになります[1]。
多く含まれている食品例:
豆類(大豆など)、野菜類(アスパラガス、ごぼう、玉ねぎ、にんにくなど)、果物(バナナなど)
善玉菌を含む食品やオリゴ糖を摂る際の注意点
甘いヨーグルトや乳酸菌飲料、塩分を含む発酵食品を多く摂ると、糖分や塩分の摂り過ぎにつながることがあるので注意しましょう。
また、オリゴ糖を急に摂取すると、胃腸が弱い方は下痢や腹痛などの症状が現れることがあります[1,6]。
腸内環境を守るために、食事のバランスを大切に
腸に良いからと言って特定の食材に偏ることは、腸内環境に悪影響を及ぼす可能性があります。バランスの取れた食事で腸の健康を守りましょう。