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COLUMN健康宅配コラム
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脳梗塞は誰にでも起こるって本当?原因や予防法を解説
脳梗塞の原因を知る まずは、そもそも脳梗塞とはどんな病気なのか、その原因から見ていきましょう。 脳梗塞とは ひと言でいうと、脳の血管が詰まってしまう病気です。血管が詰まると、その先にある脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなってしまいます。そうなると、脳の細胞はダメージを受け、壊れてしまうこともあります。 ダメージを受けた脳の場所によって、手足の麻痺やしびれ、言葉の障害(ろれつが回らない、言葉が出てこない)、めまいなど、さまざまな症状が現れます。一度壊れてしまった脳の細胞は、残念ながら元に戻ることは難しく、後遺症が残ってしまうことも少なくありません。 主な原因 では、なぜ脳の血管が詰まってしまうのでしょうか。その最大の原因は「動脈硬化」です。動脈硬化とは、血管が硬く、もろくなってしまう状態のこと。しなやかさを失った血管の内側には、傷がつきやすくなったり、コレステロールなどがたまって血管が狭くなったりします。 動脈硬化を引き起こす、主な危険因子がこちらです。[1] 高血圧常に血管に高い圧力がかかっている状態。血管を傷つけ、動脈硬化を進めます。 脂質異常症血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が多すぎる状態。血液がドロドロになり、血管の壁に脂質がたまりやすくなります。 糖尿病血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つきやすくなり、動脈硬化が進行します。 肥満高血圧、脂質異常症、糖尿病といった、複数の危険因子を抱えやすくなります。 心疾患(特に心房細動)心臓が不規則に拍動することで心臓の中に血の塊(血栓)ができやすくなり、それが血流に乗って脳まで飛んでいき、血管を詰まらせることがあります。 これらの危険因子は、一つひとつは軽くても、複数重なることで脳梗塞のリスクを飛躍的に高めてしまいます。 血液検査で脳梗塞のリスクが分かる? 年に一度の健康診断、結果の数値を何となく眺めているだけになっていませんか?実は、血液検査の項目には、脳梗塞のリスクを知るための重要な手がかりが隠されています。 コレステロール(LDL/悪玉、HDL/善玉)悪玉(LDL)コレステロールは、増えすぎると血管の壁にたまって動脈硬化の原因になります。逆に善玉(HDL)コレステロールは、余分なコレステロールを回収してくれる働きがあります。 中性脂肪体のエネルギー源ですが、多すぎると悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を進めます。 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)過去1~2ヶ月の血糖値の平均を示す数値です。これが高いと、糖尿病のリスクや、血管が傷つきやすい状態にあることが分かります。 尿酸値高いと痛風の原因になることで知られていますが、実は血管の壁を傷つけ、動脈硬化を進める要因にもなります。 これらの数値が基準値を超えている場合、それは「あなたの血管が悲鳴を上げているサイン」かもしれません。放置せずに、生活習慣を見直すきっかけにしましょう。 もし、ご自身の動脈硬化や心臓の状態について、より詳しく知りたい場合は、人間ドックなどで受けられるオプション検査を検討するのも良いでしょう。心臓の負担の度合いや、血管の微細な炎症などを調べる専門的な項目を追加で検査することができます。持病があるなど心配な方は、検討してみてはいかがでしょうか。 脳梗塞を予防するための3つのポイント 脳梗塞のリスクを減らすためには、薬による治療も非常に重要ですが、それと合わせて毎日の生活習慣を改善することが何よりも大切です。ここでは、今日から始められる3つのポイントをご紹介します。 1.食事を見直す 毎日の食事は、私たちの体を作る基本です。食べ物が変われば、血液や血管の状態も変わってきます。 ・塩分を控える工夫 塩分の摂りすぎは、血圧を上げる大きな原因です。まずは、普段の食事から少しだけ塩分を減らす工夫をしてみましょう。お味噌汁は具沢山にして汁を減らす、だしや香辛料(こしょう、しょうが、ハーブなど)の風味を活かして薄味でも美味しく食べる、醤油やソースは「かける」のではなく「つけて」食べる、といった小さな工夫が効果的です。 ・脂質を減らす工夫 脂質の摂りすぎは、血管にとって大きな負担です。こってりした揚げ物や肉の脂身は美味しいものですが、悪玉コレステロールを増やす原因になりがち。肉を食べるなら赤身に変えたり、ベーコンなどの加工品を食べる頻度を減らしたりと、少しメリハリをつけてみましょう。調理法も、いつもの「揚げる」を「焼く」や「蒸す」に変えるだけで、摂る油の量をぐっと減らせます。 ・血液をサラサラにする食材 サバやイワシ、サンマなどの青魚に多く含まれるDHAやEPAという油には、血液を固まりにくくし、コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあると言われています。手軽なサバ缶などを活用して、積極的に食事に取り入れるのがおすすめです。[2] 2.運動を始める 適度な運動は、血圧や血糖値を下げ、善玉コレステロールを増やすなど、たくさんの良い効果があります。 ・ウォーキングなどできることから 運動と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、きつい筋トレやランニングをする必要はありません。まずは、ウォーキングから始めてみましょう。1日30分程度を目安に、おしゃべりしながらでも続けられるくらいのペースで十分。エレベーターを階段に変える、一駅手前で降りて歩くなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことも大切です。 ・一時的ではなく、続けることが大切 何よりも重要なのは、続けることです。無理な目標を立てて三日坊主になるよりも、楽しみながら続けられることを見つけるのが長続きのコツです。ご夫婦で、あるいはお友達と、会話を楽しみながら歩く時間を作るのも良いでしょう。 3.たばこやアルコールを控える たばことアルコールの習慣も、血管の健康に大きく関わっています。 ・たばこ たばこは血管を傷つけ、動脈硬化を強力に進める最大の原因の一つです。まさに「百害あって一利なし」。ご自身の健康のため、そして大切なご家族のためにも、禁煙を目指しましょう。 ・アルコール 適量のアルコールは血行を良くするとも言われますが、飲み過ぎは高血圧や中性脂肪の増加につながり、脳梗塞のリスクを高めます。飲む場合は、ビールならロング缶1本、日本酒なら1合程度を目安にし、週に2日程度は肝臓を休ませる「休肝日」を設けるようにしましょう。 脳梗塞になってしまった場合の食事のポイント 一度脳梗塞を経験された方が、最も気をつけなければならないのが「再発」です。脳卒中を一度発症すると、5年以内に約3人に1人(約35%)が再発するとされています。[3] この高い再発率を少しでも下げるために、薬での治療と並行して、食事管理がとても大切です。 再発予防のための食事 一度脳梗塞を起こしたということは、血管が傷つきやすい状態にあるということ。再発を防ぐには、これまで以上に徹底した食事管理が欠かせません。基本は、予防の食事と同じく「塩分」と「脂質」を控えた食事が中心となります。ただし、ご自身の判断だけでなく、必ず医師や管理栄養士の指導のもとで、適切な食事療法を進めていくことが大切です。 嚥下(飲み込み)に配慮した食事 後遺症で、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる嚥下(えんげ)障害が残ることがあります。飲み込む力が弱まっていると、食べ物が誤って気管に入ってしまい、肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こす危険があります。 ご本人に合った食事の固さや、とろみの調整など、専門的な配慮が必要になるため、知識のない方が判断するのは非常に危険です。必ず、言語聴覚士や管理栄養士といった専門家に相談し、安全な食事の進め方について指導を受けてください。 脳梗塞予防には日々の生活習慣の見直しが大切 脳梗塞は、特別な人がなる病気ではありません。長年の生活習慣の積み重ねが、血管の状態となって現れ、発症につながります。健康診断の結果を見て見ぬふりをせず、自分の体の状態をきちんと把握すること。そして、食事、運動、禁煙など、今日からできる小さな一歩を始めることが脳梗塞予防には必要です。
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正月を健康に!減塩も意識しながら、糖尿病・腎臓病の方も楽しめるおせちの工夫
1. おせち料理とは?~健康と長寿を願う伝統料理 お正月に欠かせないおせち料理には、実は「節(せつ)」という言葉に由来があります。 「節」とは、季節の変わり目や年中行事のことを指し、古くは一年の中で特に大切な時期に神様へ感謝を伝えるための料理を「節の料理」、つまり「おせち」と呼びました。 江戸時代には、人日(1月7日)、上巳(3月3日)、端午(5月5日)、七夕(7月7日)、重陽(9月9日)の「五節句」が定められましたが、現代ではその中でも最も重要な節である「正月」に食べる料理をおせちと呼ぶようになりました。 もともとは身近な食材を調理したものをカミにお供えし、その後に家族で分かち合う「直会(なおらい)」の儀礼として行われていたものが、時を経て豪華な重箱料理として定着しました。地域や家庭によって詰める料理はさまざまですが、それぞれに健康や長寿、豊作などの願いが込められています。 ここでは一例として、三段の重に分けた場合をご紹介します(注1)。 ●一の重:祝い肴・口取りなど ●二の重:酢の物・焼き物など ●三の重:煮物など 2. 糖尿病・腎臓病の方が知っておきたい「おせち」の特徴 おせちは、保存性を高めるため、砂糖や塩を多く使うのが特徴です。そのため、糖尿病や腎臓病の方は、味付けや食材の選び方、量に注意して食べることが大切です(注2,3)。 注意したいポイント ●甘味が強い:砂糖やみりんを多く使うため、糖質が高くなりやすい ●塩分が多い:塩や醤油を使う料理が多く、塩分摂取量が増えやすい ●リン・カリウムが多い:魚卵や肉類、黒豆、根菜、昆布などは腎臓病の方は控えめに おせちを食べる際は、主治医や栄養士に相談し、量や種類を調整すると安心です。 2-1. 主なおせち食材・料理の栄養価(参考) ここでは、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づき、おせちで使われる主な食材や料理の栄養価の目安をご紹介します。 成分は食品や料理の種類・調理法によって変わるため、あくまで参考値です。糖尿病や腎臓病の方は、必ず主治医や栄養士と相談しながら量を調整してください(注4)。 量エネルギー(kcal) たんぱく質(g)糖質(g)カリウム(㎎)リン(mg)食塩相当量(g) 甘露煮(日本ぐり)20g460.416.31550 田作り(かたくちいわし)5匹(10g)306.71.41602300.2 数の子(塩蔵・水戻し)1本(20g)163.00.1※0.4190.2 黒大豆(茹で)10粒程度(20g)312.90.3※96440 だて巻き(水産練り製品)1切(30g)574.45.633360.3 かまぼこ(蒸し・水産練り製品)2切(30g)283.63.333180.8 【参考】文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 ※糖質は、差引き法による利用可能炭水化物を記載しています。 3. 糖尿病・腎臓病でも楽しめる!減塩も意識したおせちの工夫 3-1. 食べる量とタイミングを意識 おせちは種類が多く、つい手が伸びてしまいがちです。小皿に少しずつ盛りつけると食べすぎを防げます。また、食事の時間を決めて食べ、間食のように少しずつつまむのは控えましょう。 3-2. ゆっくり味わう ひと口ずつよく噛むことで満腹感が得られ、食べすぎを防げます。噛むほどに素材のうま味が感じられ、薄味でもおいしくいただけます。 3-3. 素材の味を生かす かずのこやかまぼこ、昆布巻などの加工品は塩分が多めです。醤油や塩を足さず、そのままの味を楽しむと、体に配慮しながら味わえます。 3-4. 調理の工夫でおいしく 砂糖や塩を控えめにし、だしや香味野菜の風味を生かすと、自然なうま味が引き立ちます。 さらに、下茹でや水にさらすなどの下処理を加えることで、カリウムや塩分を減らしつつ、素材の色や香りも楽しめます。 こうしたひと手間で、薄味でも満足感のある一品に仕上がります。 3-5. 盛りつけで工夫 彩りや器でも工夫しましょう。小さめの器や重箱を使うと、自然と食べる量が控えめになります。紅白や緑などの色を意識して盛りつけると、少量でも華やかに見えます。 3-6. 体調を気づかいながら お正月は食べる機会が増える時期です。体重や血糖値を確認しながら楽しみましょう。必要に応じて、糖質や塩分を調整した市販のおせちを取り入れるのもおすすめです。 3-7. 塩分を控える工夫を確認 これまでご紹介した「よく噛む」「素材の味を生かす」「調味の工夫」は、日常に取り入れやすい減塩の基本です。 お正月のおせちだけでなく、普段の食事でも意識することで、塩分を控えながら食事を楽しめます。 さらに詳しい減塩の工夫や具体例は、こちらの記事をご覧ください。 ■関連記事: 減塩習慣を始めよう!塩分を控える理由と減塩のコツ 4. おせち料理の具材と込められた願い、食べ方の工夫 ここでは、一の重~三の重の主な具材と、それぞれに込められた意味、さらに糖尿病や腎臓病の方も工夫して食べられるポイントをご紹介します(注1)。 4-1. 一の重(祝い肴・口取り) ●栗きんとん 漢字で書くと「金団」。黄色を黄金に、栗を小判に見立て、「今年も豊かな一年でありますように」との願いが込められています。 工夫:甘露煮のシロップは加えず、必要に応じて低カロリー甘味料で甘みを調整します。栗はカリウムを多く含むため、一度に食べすぎないように。 ●田作り 昔は乾燥させた小魚を田んぼの肥料にしていたことからこの名がつきました。豊作を祈る意味を持ち、別名「ごまめ」とも呼ばれます。 工夫:醤油は最後に少量だけ和えて塩分を控えめに。小魚はカリウムやリンが多いため、量に注意。 ●かずのこ ニシンの卵。ニシンは「卵が多い=子がたくさん生まれる」とされ、子孫繁栄や子宝を願う縁起物です。 工夫:塩抜きを行い、漬け汁はだし汁と薄口醤油でシンプルに。彩りとして少量加えると華やかさが増します。 ●黒豆 「まめに暮らす」という意味から健康を祈る料理です。黒色には邪気を払う力があるとされます。 工夫:甘さを控えめにじっくり煮て香りやほくほく感を楽しみます。カリウムやリンが多いため、茹でこぼしで調整し、量も控えめにすると安心です。 ●たたきごぼう 根が深く張ることから、「家庭や家業が地に根を張って安定するように」との意味があります。 工夫:少量ずつよく噛むことで満腹感が得られ、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。 ●伊達巻 巻物の形から学問や文化の繁栄を象徴します。 工夫:砂糖を控えめにし、出汁の風味を生かすと甘さを抑えつつ美味しく味わえます。 ●かまぼこ 半円形は日の出を表し、紅は「めでたさ」や「魔除け」、白は神聖な色とされています。 工夫:塩分が高めなので、追加の醤油は不要。素材の味を楽しみましょう。 4-2. 二の重(酢の物・焼き物など) ●えび 「腰が曲がるまで長生きできるように」という長寿の象徴。赤色は魔除けの意味もあります。 工夫:食べる量を調整し、甘みや旨味を生かして煮ると満足感が得られます。 ●なます 大根とにんじんの紅白が祝いの水引を表しています。 工夫:凍らせて脱水すると塩分を減らせます。ゆずの皮で香りを加えると薄味でも楽しめます。 ●ぶり 出世魚で、出世や成功を願う縁起物です。 工夫:脂の多い部分は少なくするとカロリーや脂質を抑えられます。大根おろしを添えると、さっぱり味わえます。 4-3. 三の重(煮物など) ●昆布巻 「よろこぶ」に通じ、幸福や喜びを祈る縁起物です。 工夫:カリウムが多いため茹でこぼし、塩分は表面に軽くからめる程度に。 ●れんこん 穴が空いていることから「先が見通せる」ことを象徴します。 工夫:下茹ででカリウムをある程度減らし、食べやすくします。ゆっくりよく噛むことで満腹感も得られます。 ●筑前煮(煮しめ) 根菜や山の幸を使い、豊かな収穫や家庭の安定を祈る料理です。彩りも豊かで正月料理に華を添えます。 工夫:下茹でしてカリウムを減らすと食べやすく、ゆっくりよく噛むことで満腹感も得られます。 どの料理も甘味や塩分が強い場合は、少量ずつ食べ、他の料理と組み合わせると健康に配慮しながら楽しめます。 5. 健康に配慮したおせちで新年を迎えよう おせちは、家族の健康や幸せを願う意味が込められた伝統料理です。糖尿病や腎臓病の方がおせちを楽しむ場合も、量や食べ方、調理の工夫を取り入れることで、体への負担を抑えながら味わえます。たとえば、塩分や甘味を控えめにしたり、少しずつ味わって食べることで、血糖値や腎機能への影響を和らげることができます。また、彩りや食感を工夫すると、少量でも見た目や味わいをしっかり楽しめます。 体調や数値に合わせて無理なく調整しながら、減塩を意識したおせちも含め、安心して新しい年を迎える工夫として取り入れてみましょう。
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糖尿病でもおやつにさつまいもはOK?血糖値を上げにくい食べ方を管理栄養士が紹介
糖尿病でもおやつは食べてよい? おやつにはお菓子のような「嗜好品」を食べるという意味だけでなく、食事だけでは補えない栄養素を摂るという役割もあります。たとえば、次の食事と7時間以上間があく、1食がしっかり食べられないときにおやつを取り入れることで、血糖値のコントロールや健康維持に役立ちます。 また腎臓の機能が低下している場合、たんぱく質の制限がかかるため、食事だけでは必要なエネルギーが確保できないことが多いです。腎機能が低下している方は特に合間におやつを取り入れられるとよいですね。どちらにせよ、おやつを摂るときは「栄養価の高いもの」を選ぶことが重要です。 ■関連記事:糖尿病でもおやつが食べたい!管理栄養士推奨のおやつとレシピを紹介こちらの記事でも糖尿病の方のおやつ全般について選び方やレシピを紹介しています。ぜひご覧ください。 さつまいもは糖尿病でも食べてよい? さつまいもはおやつに適しています。なぜならさつまいもは食物繊維が多く、血圧対策に役立つカリウム、インスリンの働きを助けるマグネシウムも豊富だからです。さつまいもの糖質が気になる方もいますが、さつまいもに含まれる糖質はでんぷんが主体です。そのため、お菓子よりも消化・吸収がゆっくりで、血糖値の上昇はおだやかになりやすいとされています。とはいえ、量を摂り過ぎると血糖値は上昇しやすいですし、最近は糖度の高い品種が出回ることが多いため、量と食べ方が重要です。 また、腎機能の低下により、カリウム制限がある場合にさつまいもを摂ることでカリウムの過剰摂取につながるおそれがあります(1本あたり960mg)。そのため、医師の確認のうえ摂るかどうか判断してくださいね。もし食べる場合は少量にとどめ、輪切りにしてゆでこぼしをするなど、極力カリウムを減らした状態で食べてくださいね。 糖尿病におすすめのさつまいもの選び方 さつまいもとひとくちに言ってもさまざまな品種があります。また、せっかく食べるならばおいしいものを食べたいですよね。そこで、おいしいさつまいもの選び方と糖尿病の方におすすめの品種を紹介します。 良いさつまいもの選び方 さつまいもを栄養価高く、おいしく食べるには良いさつまいもを選ぶことが大切です。以下をポイントに選ぶと、おいしいさつまいもに出会えるでしょう。 <おいしいさつまいものポイント> ・皮の色が均一である ・つやがある ・表面に傷や斑点がない ・ふっくらしている ・ひげがやわらかい 糖尿病の方におすすめのさつまいも品種 さつまいもの糖質は種類によって異なり、一般的に糖度が1度上がるごとに糖質が1g増えるとされています。また、ほくほくとした食感のもののほうが、ねっとりとした食感のものよりも糖質はおさえられます。そのため、糖尿病の方はほくほくした食感の品種を選べるとよいでしょう。代表的な品種ごとの特徴は以下です。購入時に意識してみてくださいね。 【ほくほく系】 紅あづま甘さと食感のバランスが良い。 鳴門金時黄金のような黄色い中身で、栗のようなほくほく食感。甘さは少し強め。 パープルスイートロード皮も中も赤紫なのが特徴。甘さもあっさりしている。 【ねっとり系】 紅はるか濃い黄色い実で蜜が多く、クリーミーで濃厚な甘さがある。 安納芋かなりねっとりしており、甘さも濃いが紅はるかよりは糖度は低めである。 シルクスイート絹のようになめらかな食感。上品な甘さが特徴である。 もう迷わない!さつまいもの食べ方ポイント さつまいもの選び方はわかりましたね。しかし、どう食べると血糖値の上昇を極力おさえやすいのでしょうか。ここではさつまいもを食べるときのポイントを解説します。 1回の目安は70g程度(中1/2本) 日本糖尿病学会の「糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)」によると、さつまいも中1/2本でごはん茶碗1/3杯(50g)と同じカロリー※(80kcal、1単位)です。3食しっかり必要な量の炭水化物を食べている場合は、食べたさつまいも分の量を減らして調整できると安心ですよ。 ※本来はエネルギーですが、便宜上「カロリー」表記としています。 皮と一緒に食べる さつまいもの皮には食物繊維が豊富です。食物繊維は血糖値の上昇を穏やかにするだけでなく整腸作用も期待できます。そのため、できるだけ皮つきで食べましょう。 ※参考:さつまいもの皮あり・なしでの食物繊維量の比較 さつまいもの状態食物繊維量 さつまいも(皮つき)蒸し3.8g さつまいも(皮なし)蒸し2.8g 調理法は「蒸す」 蒸すことで余分なあぶらや調味料を使わずに済みます。レンジでも簡単にできるのも嬉しいポイントです。また、さつまいもの調理方法のなかで一番GIが低いとされているのが蒸す方法です。 しかし、スーパーでは焼きいもの状態で売っていることが多く、手軽に食べるなら焼きいも、という方も多いのではないでしょうか。実は焼きいもは蒸すよりも血糖値の上昇が起きやすいとされています。 そのため、焼きいもを食べるときはよく噛むことを意識してみてください。よく噛むことで血糖値の上昇を抑えやすいとされているからです。また、一度冷やすこともおすすめ。冷やすことでさつまいものでんぷんがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に変わり、血糖値の上昇をおさえる作用が期待できるのです。時間に余裕がある場合は一度冷やすことも試してみてくださいね。 食べるタイミングは日中や夕食前 BMAL-1(ビーマルワン)という脂肪の蓄積を促す物質があります。この物質が活性化しにくい時間帯が日中です。そのため、焼きいもを食べるときは15時までに食べるとよいでしょう。また、昼食と夕食との間が6時間以上開く場合、食後の血糖値の上昇が大きくなるおそれがあるため、夕食に捕食として食べることもおすすめです。このとき、食べた量に応じて夕食の炭水化物の量は調整してくださいね。 よく噛んで食べる さつまいもの種類や調理法、タイミングを考えるだけでなく食べ方も非常に大事です。よく噛んで食べることで満足感を感じやすいだけでなく、血糖値の上昇がおだやかになることもわかっています。今すぐできる方法なので、食べ方も合わせて試してください。 簡単さつまいもおやつ3選 さつまいもの適量や注意するポイントについて解説してきました。最後におすすめのさつまいものおやつを紹介します。気分や状況に応じて活用してくださいね。 ふかし芋 さつまいもをふかすだけで、皮ごと食べやすくなるため、血糖値の上昇が気になる方におすすめです。電子レンジでも簡単に作れます。 <作り方> 1. 水に濡らしたペ ーパータオルをさつまいも全体にかぶせる 2. ラップでふわっとつつむ 3. 500Wの電子レンジで5~8分程度加熱する 4. 竹串で容易に刺せるまで加熱すれば完成 ※ペーパータオルは必ず水で濡らし、加熱しすぎないように注意してください。 干し芋 コンビニやスーパーでも手軽に手に入りやすく、長期保存もしやすいのも嬉しいポイント。噛み応えもあるため、満足感も高まります。カリウムや食物繊維も豊富ですので、栄養価の高いおやつです。しかし、食べ過ぎると糖質の摂り過ぎにつながるので2~3本程度にしましょう。また、腎機能の低下がありカリウム制限のある方はカリウムの摂り過ぎにつながるおそれがあるため、避けた方が安心です。 さつまいも+ヨーグルト さつまいもにはたんぱく質がほぼありません。そのため、ヨーグルトと合わせることでたんぱく質の補強がかないます。また、ヨーグルトには善玉菌、さつまいもには善玉菌のエサとなる食物繊維があるため、腸内環境の改善に役立つでしょう。炭水化物の調整のためにもヨーグルトは砂糖のないプレーンタイプを選ぶようにしてくださいね。また、干し芋とヨーグルトを合わせて一晩つけこむと、干し芋が柔らかくなり、食べやすくなりますよ。 さつまいもは食べ方がカギを握る 糖尿病になったからといって、甘いものはNGではありません。我慢し続けるのではなく、体に優しい量や食べ方を意識してみてください。おやつを摂るときは、栄養価の高い食べ物を選ぶのがおすすめです。さつまいもは食物繊維やカリウムなど体に嬉しい栄養素が豊富のため、おやつに最適です。ただし、ほくほくした食感の品種を選び1/2本程度を目安に日中に食べるとよいでしょう。ぜひ今日からポイントを意識して、さつまいもを普段のおやつに取り入れてみてください。
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腎臓病でもおやつは食べられる?管理栄養士が教える選び方や注意点
腎臓病の方にとっておやつが必要な理由 おやつは単なる嗜好品ではなく、心と体の健康維持につながります。 食事制限によるストレスの軽減 腎臓病の食事制限は厳しく、食べたいものが食べられないという状況は大きなストレスとなります。おやつは、食事とは違った楽しみを味わえ、いつもの単調な食事からくるストレスを一時的に忘れさせてくれるもの。医師や管理栄養士と相談の上、病状に合わせたおやつを選ぶことで、心の負担を軽減し、治療を続けるモチベーションを保つことにつながります。 食事量不足によるエネルギー不足の補給 制限される食材が多いことから、食欲不振がある場合には、必要なエネルギーや栄養素が不足しがちです。特に高齢の患者さんは低栄養になったり、体重が減少したりするリスクが高まります。そういった方にとっておやつは、少量でも手軽にエネルギーを補給できるため、低栄養状態を防ぎ、体力の維持に役立てるお助けアイテムとなるのです。 精神的な満足感とQOLの向上 おやつは、単なる栄養補給ではありません。精神的な満足感をもたらし、生活の質の向上(QOL)に大きく役立ちます。好きなものを少量でも食べられるという喜びは、日々の生活にメリハリが生まれ、きゅうくつな食事制限の中でも前向きな気持ちを保つモチベーションとなるでしょう。また、家族や友人と一緒におやつを楽しむ時間は、コミュニケーションの機会にもなり、孤立感を防ぐ上でも重要です。 腎臓病のおやつの基本の考え方 おやつを選ぶ際も、食事療法の考え方をベースとします。ここでは、覚えておいてほしい基本の3点をご紹介します。 塩分・たんぱく質・カリウム・リンが控えめのおやつを選ぶ 腎臓病の食事療法では、塩分、たんぱく質、カリウム、リンの摂取量を制限することが基本となります。おやつを選ぶ際も同様で、これらの成分が多く含まれているおやつを選んでしまうと、普段の食事で制限していても、トータルでの摂取量が増えてしまい、腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。 【食事療法中は控えたいおやつの例】 ・塩分の多いおやつ:スナック菓子、珍味(するめ、さきいか)など ・たんぱく質の多いおやつ:豆菓子、魚肉ソーセージ、乳製品(ヨーグルト、チーズ)など ・カリウムの多いおやつ:ドライフルーツ、チョコレート、ナッツ類、いも類のおやつ(スイートポテト)など ・リンの多いおやつ:乳製品、いも類のおやつ、チョコレート、ナッツ類など これらの成分が控えめなものを選ぶか、管理栄養士と相談して摂取量を調整しましょう。 食事を基本に+αでおやつを取り入れる おやつは、あくまで通常の食事で不足しがちな栄養を補ったり、気分転換を図ったりするための「+α」と捉えましょう。おやつで必要な栄養を摂ろうとすると、かえって特定の成分を過剰摂取してしまう可能性があります。 おやつの目安としては、1日の必要エネルギーの約10%程度(100〜200kcal程度)に抑えるのが一般的です。市販品であれば、栄養成分表示を必ず確認し、手作りの場合は、使用する食材の成分を考慮して工夫することが大切です。 食べる量は決めておく 「少しだけ」「もう一口だけ」といった気持ちから、ついつい食べ過ぎてしまうのがおやつです。そこで、袋から直接食べるのではなく、まずはお皿に食べる分だけ出してから食べ始める、小袋に入ったおやつを選ぶ場合は1袋だけにする、などの工夫が有効です。残りはすぐに棚にしまうなど、目に入らない場所に片付けることで、食べ過ぎを防ぐことができます。事前に量を決める習慣をつけることで、無理なく食事療法を続けられるでしょう。 腎臓病の方におすすめのおやつ ここでは、腎臓病の方におすすめのおやつとその栄養価をご紹介します。[1]ぜひ日々のおやつ選びの参考にしてください。 種類1個当たりの重量(g)エネルギー(kcal)たんぱく質(g)カリウム(mg)リン(mg)塩分(g) 飴5(1粒)1900.100 水ようかん80(1個)1342.113.618.40.08 八つ橋24(1個)660.98.410.10 くず餅95(1個)880.11.02.90 みたらし団子55(1本)1071.832.528.60.33 せんべい(しょうゆ)15(1枚)551.019.5180.2 リーフパイ21(1個)1171.216.28.80.02 シャーベット100(1本)1280.995220 ※栄養価はメーカーによって異なるため、パッケージをよくご確認の上、選ぶことをおすすめします。 飴 飴は、主に砂糖でできており、手軽にエネルギーを補給できます。たんぱく質やカリウム、リンなどの腎臓病で制限が必要な成分がほとんど含まれていないため、安心して食べられるおやつの一つです。ただし、糖分の摂りすぎには注意し、適量を心がけましょう。食欲がない時のエネルギー源としても役立ちます。 水ようかん 小豆にはカリウムが多く含まれますが、水ようかんは小豆を水で薄めているため、比較的カリウムが少なくなります。また、たんぱく質も控えめなので、安心して食べやすいでしょう。口当たりよいため、食欲がないときでも食べやすいおやつです。 生八つ橋 京都銘菓の生八つ橋も、カリウムやリンの含有量が少なく、安心して食べられます。特に、つぶあんよりもこしあんタイプがおすすめです。もちもちとした食感と上品な甘さが特徴で、少量でも満足感を得やすいでしょう。 わらび餅・くず餅 わらび餅やくず餅は、たんぱく質、カリウム、リンのいずれも少ないのが魅力です。ただし、添えられている黒蜜はカリウムが多く含まれるため、かけすぎには注意が必要です。きな粉もカリウムやリンを含むため、少量にするか、なしで食べるのが良いでしょう。 みたらし団子 お団子の主成分である米粉は、カリウムもリンも比較的少ないため、安心して食べられます。1本でも満足感があり、食べ応えもあるので、小腹を満たすのに最適です。ただし、タレの塩分量には注意し、食べ過ぎないようにしましょう。 せんべい せんべいは、塩分が多めなので、たくさん食べることはおすすめできません。しかし、小袋に入ったものを選び、1袋だけにするなど量を決めて食べるのであれば、許容範囲内です。また、塩分の少ない南部せんべいを選んだり、減塩タイプのせんべいを選ぶと、より安心して食べられます。 リーフパイ リーフパイのようなパイ系のお菓子も、食べ過ぎなければ比較的カリウムやリンが少ない傾向にあります。中でも小袋に入ったものなら、量をコントロールしやすくおすすめです。 無果汁のシャーベット 暑い日や食欲がない時にも食べやすいシャーベットですが、果汁を使ったものはカリウムが多くなりやすいので注意が必要です。そのため、サイダー味やレモン味など、果汁をほとんど使用していないタイプを選ぶのがおすすめです。 腎臓病用おやつ 市販の腎臓病用おやつは、栄養成分が調整されているため、より安心して食べられます。「アガロリー」や「エネルギーゼリー」、「エネプリン」のようなゼリー状のものから、たんぱく質調整ビスケット、カステラ、せんべいなど、さまざまな種類があります。日々の食事管理をされている中で、より安心しておやつを選びたい方は、これらの商品を活用するのもおすすめです。 腎臓病のおやつに関する注意点 おやつは腎臓病の食事療法を続ける上で大切な役割を果たしますが、いくつか注意すべき点があります。 水分制限がある方はおやつの種類に注意 腎臓病のステージや尿の出方によっては、医師から水分制限の指示が出ることがあります。このような場合、知らず知らずのうちに水分を摂りすぎてしまわないよう、おやつの種類にも注意が必要です。 腎臓病のステージや尿の出方によっては、医師から水分制限の指示が出ることがあります。このような場例えば、ゼリーやプリン、アイスクリームなどは、見た目以上に多くの水分を含んでいます。喉越しの良いこれらのおやつは、ついつい食べ過ぎてしまいがちですが、水分制限がある場合は摂取量に気をつけましょう。医師や管理栄養士と相談し、水分量を確認しながら、適切なおやつを選ぶことが大切です。 必ずかかりつけ医・管理栄養士の指示に従う 腎臓病の進行度合いや合併症の有無など、患者さん一人ひとりの状態は大きく異なります。そのため、必要な食事制限の内容も人それぞれです。インターネットや本で得た情報だけで、「これは大丈夫だろう」「これはやめておこう」と自己判断してしまうのは大変危険です。 おやつを選ぶ際も、必ずかかりつけ医や管理栄養士の指示に従ってください。何を食べても良いのか、どのくらいの量なら許容されるのかを具体的に確認し、適切な指導を受けることが大切です。 おやつを取り入れて上手に腎臓病と付き合おう おやつは日々のストレスを和らげ、必要なエネルギーを補給できるため、腎臓病患者さんにとって大切な役割を担っています。おやつを選ぶ際の基本は、食塩、たんぱく質、カリウム、リンが少ないものを選ぶことです。これらのポイントを押さえ、食事療法を無理なく続けながら、おやつを楽しみましょう。














